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平成から令和へひとこと言わせてもらう。

作者: 時津彼方

「いきなりどしたの、平成(ひらなり)。急に公園に来いって」

「いや、もう明日からお前が日本の顔じゃんか」

「は? 何言ってるの? 私はただ明日から平成の代わりに学生徒会長をするだけなんだけど」

「この学校からは国会議員がたくさん出ている。そこの生徒会長ってことは、将来日本を背負うリーダーってことだ」

「話が飛びすぎてるよ。それと、呼び出したのは何の用?」

令和(りょうな)、お前を呼びだしたのはほかでもない。一緒にこれまでを振り返るためだ」

「振り返るって、もう引き継ぎは終わったでしょ?」

「いや、念のためもう一度。ほら、俺が始めたころにはたくさん改革してただろ?」

「ああ、ベルマークを集め始めたことと学校内の派閥の撤廃でしょ? そのおかげで生徒会の活動費は増えたし、昔はあんなにいがみ合ってた派閥が今となっては一緒に文化祭の打ち上げをする仲。すごく衝撃を受けたのを覚えてるわ」

「そうだろ? やっぱ俺ってすご」

「調子乗らない。続けて」

「はい……でも、その時ノリノリだった学校も一回落ち込んだんだよな」

「そうね。模試の結果が学校全体で悪すぎて、週一で学校集会したのはあきれたわ。あんなのする暇があったら勉強させた方がいいのにね」

「そこからは教師の不祥事、生徒の横暴化、しまいには老朽化による校舎の一部倒壊。政治家たちの寄付のおかげで目途は立っているが、今もまだ復旧作業は続いている。これから先、どうなることやら……」

「でも、多少はいいこともあったじゃない。生徒の中からスキーの日本チャンピオンが出たり、すごい商品を開発して今となっては社会の基盤になっている企業を立ち上げた生徒もいたり、私の友達なんか日本一のアーティストって呼ばれて世間で話題になったりしてるし。まあ、あんまりメディアには出ようとしないけど」

「まあな、やるやつはやるんだ。ちなみに、令和は何かすること決まっていたりするのか?」

「えーと、まずベルマークのほかにプルタブも集めようかなって考えてる。あとは特に。これから考えるって感じ」

「ふーん。で、どうして一個下のお前が俺にため口聞いてるんだ?」

「だって先輩のろけてるじゃないですか。私たちの学年がどれほどしりぬぐいをしなきゃならないか、わかってないんですよね」

「いや、それは過ぎた話だし……ごめんなさい」

「まあどれほど変えようと思っても、明日になったら私の政権。私たちが変えていきますよ」

「期待してるぞ!」

「ほーらまたすぐそうやって調子乗る」

「すんません……」

「と、いうことで。明日から私、令和をよろしくお願いします!」

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