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花畑とサンドイッチ弁当①


開店の為の大まかな準備は終わった。

終わったのだけど


だけど…


「もーーーーっ!」


「サラ嬢落ち着いて下さい」


「だってー」


きっと今の私は思いっきり眉を下げて情けない顔をしてるに違いない、それでも納得できないのだ。


今向き合っている問題は価格設定。


この世界の食品が高すぎる故私がいくら地球から食材を安く仕入れても価格を設定するとしたらこの世界のパワーバランスを崩すわけには行かず、本来設定できるであろう倍、否3倍の価格で販売しないといけないのだ。


けどそんなの詐欺(ぼったくり)だ!


もっと良心的な価格設定で、皆んなの懐に優しいそんな総菜屋さんにしたい。


そういえば


そもそも何でこんなに食品の物価が高いんだろう?

ルヴァンに思ったままに尋ねれば少し困った様に話してくれる。


「この国では食品の品質保持の為や環境保全の為に収穫上限が定められているんです。過去に取れるだけ取るという方法でいくつかの生命体が絶滅してしまいそこから規制が始まったと聞いています。それでも国の貯蔵庫には天災の時半年は持ち堪えられる食品が貯蔵されているそうですよ」


絶滅…それは制限されても仕方ないのかな?

けど


「野菜や果物は?自分で畑で自家栽培するので有れば多くても問題ないんじゃ…」


「畑?この国の野菜や果物は自然が作り出すものなので自家製ではないですよ?天が授けてくれるんです。収穫も危険が伴いますしちゃんとした専門の人しか出来ません、まぁ魚は別ですが肉も全てが天然です。」


「えぇーーー?!」


つまり野菜や果物、家畜は野生で育っているってこと?

それは取り過ぎたら絶滅しちゃうよ…


となれば畑を作ればいいんじゃない!

けど広大な土地が必要になるよね…勿論人も知識も


少し家庭菜園程度の経験はあるけど大掛かりなものになると勝手が違う気がする。

勿論調べれば良いんだろうけどきっと農業の[の]の字もわかってない私にはそれを広められる気がしない。


うぅーーーん


何か策はないの?


モヤモヤしちゃう。


それに


「自然が作り出すってことは冬とかはどうなるの?」


自然の産物なら一年中取れるってことはないはずだ。


「雪の時期は取れないものも多いので暖かい時期に倉庫に蓄えたり、野菜は干したりした物を食します」


カルチャーショックだ。


こんな気持ちじゃ作業が進むはずもないし…

よし、散歩しよう。

いや、お弁当を作ってピクニックしよう!


何か発見があるかもしれない


「ルヴァン、今日は一度価格の事を考えるのはやめてピクニックに行こう、お弁当を作って外で食べるの」


「お弁当?」


おぉ、やっぱりお弁当文化もないのね。


「ご飯を持って出かけるって事」


決まればやることは1つ、台所行ってレッツクッキング!


食パンの8枚切りにチーズ、ハムにレタス、卵にマヨネーズ、マスタードをお取り寄せして


サンドイッチ!


あ、マーガリンもね!


食パンの耳は切り取ってマーガリンを塗る、そしたら綺麗に洗ったレタスの水気を拭き取って手でちぎって乗せる。その上から少しマスタードを混ぜたマヨネーズを塗ったらハムを乗せてチーズも乗せてからもう一枚のパンで挟んでシンプルなハムチーズサンド!


後は、卵を茹でて出来たゆで卵を食感が残るように乱切りにしてからボールの中でフォークで潰して塩胡椒で下味をつけてマヨネーズで和える

マーガリンを塗ったパンの上に薄っすらマスタードを塗って出来た卵を乗せてパンで挟めば楽チンたまごサンドの出来上がり!


2つずつ作って縦に二等分に切って交互に並べたら彩りも結構いい感じだ。


「ホントはBLTサンドも作りたかったんだけど…」


あれはトマトから水が出るからすぐに食べるならいいんだけどお弁当には向かないって個人的に思ってる。


もう少し何か欲しいな…そうだ!


手羽肉と生姜、ニンニク、林檎にシナモンと餃子の皮と片栗粉を取り寄せて


はじめに醤油と味醂、おろした生姜とニンニクをボウルに入れて味を整えて味見!

よしバッチリ。


あとは手羽の下のところに包丁で切り込みを入れてお肉を削ぐように骨に沿って上にあげて短時間で味がしみるように肉の部分に少し筋を入れる!

残りのお肉も同じ様に仕上げて塩胡椒で揉んだらさっき作ったタレに投入早く馴染む様にしっかり揉み込んだら少し置いておいて


その間に林檎の皮を剥いて真ん中の芯を取ったら乱切りにして鍋に林檎と同量の砂糖を入れてゆっくり煮こむ。林檎の汁が出てきて砂糖と溶け合って甘い香りがしてきた


「はぁ」


もうこの香りが堪らない!飴色になってきたあたりで火を止めてシナモンで香りづけ

粗熱を取ったら餃子の皮に乗せて端の部分を水で濡らして半分に折ったら皮の端をフォークで後をつけて卵黄を溶いたものを表面に塗ってオーブンへ

10分くらいしたら何ちゃってアップルパイの完成。


あ、レモン汁忘れてた…ま、大丈夫でしょ


あとは、作業途中の鶏肉、よしこれくらい滲みてればいけるでしょ。

少しマヨネーズを足してもう一度揉んだら片栗粉をまぶして低温で揚げる!


うぅーーニンニクの良い香り、お腹が空いてきた…


少し色がついてから一度上げて予熱で火を通したら今度は高温で一気に揚げてしっかりと濃いキツネ色になったら手羽のチューリップ唐揚げの完成!


水筒にハーブティーを淹れたら準備もバッチリ


お弁当と水筒をバックに入れればいつでも行ける


「ルヴァンお待たせ、さあ行こう」


「サラ嬢、ピクニックにぴったりな花の咲く丘にご案内しますね」


と少し上機嫌なルヴァンを抱きあげてハウフロートの郊外にある丘を目指した。


◇◇◇


1時間くらい歩けば目の前は広大な花畑が広がった小高い丘に出た。


「きれ…い」


此処が天国だと言われても納得ができるくらい目の前の花畑は様々な色の花が咲き誇っている


大きな木が影を作っている芝生に腰を下ろせば妖精が優しい風を運んでくれる。


うーーんっと背伸びをすればモヤモヤが少し晴れた気がして


ぐぅ〜ぅ


とお腹が鳴った。


「食べよっか」


誤魔化す様にお弁当と水筒を取り出してルヴァンに告げればハイッと元気な返事が返ってきた。


お弁当の蓋を開ければサンドイッチと唐揚げにアップルパイ擬


弁当箱にダイブしそうな勢いで覗き込んでいるルヴァンの瞳は見開きすぎて零れ落ちそうだ。


ふぁー目をキラッキラさせてルヴァンったら可愛い!


料理の説明を聞きながらも今にも涎を垂らしそう


あんまり待たせたら可哀想だよね


「食べよう?」


お手拭きを渡して手を拭いて

両手を合わせて


「「頂きます」」


とサンドイッチに手を伸ばして頬張れば口いっぱいに広がる卵の風味


空気は美味しいしご飯も美味しいし太っちゃいそう!


幸せに浸りながら唐揚げに手を伸ばせば良い感じに味がしみてるし二度揚げのおかげでカラッと揚がっている


「はぁ…染みる」


この病み付きになる感じ堪らない

次はハムチーズサンドを食べようと手を伸ばしたら


ぐうぅ〜〜うッと何処かから大きな音が聞こえた。


私のお腹の音?違うよね?


今食べてるし


ルヴァンもキョロキョロと辺りを見渡している


首を傾げればまた一段と大きな音が聞こえてきた


ぐぅ〜グルルルルゥ〜


上から聞こえる?

そっと上を見上げれば


「っっ!」


目が合った。

太い枝に座りながらこちらを覗いてる…


「あの…食べますか?」


恐る恐る声を掛けると少し時間を置いて


「良いのか?」


と返事が返ってきた。






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