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禁断の果実はお手軽に


他愛のない話、


楽しい食卓、


楽しいお酒、


美味しいチーズ、


そして、ルヴァンの事、



全ての事を思い出しながら、台の上を眺める。



この量の食材、どうしよう…


見たことのあるものから、初めて見るもの。多くの食材で溢れかえっている。


実際、形状と味が一致しないものがあると言うことも分かったので、此処はリンランに貰ったルーペの出番だ!


………


……



「うわぁ…」


何これ?


ひたすらルーペで鑑定していたら、林檎に混じって不思議なものを発見した。



見た目はどう見ても周りの林檎と同じなのに、表示がおかしい…



ーーーーーーーーーー


名称:魔林檎


禁断の果実


見た目、味は林檎であるが、土地の魔力(マナ)を多く吸収することで、ごく稀に育つ果実。高級品。

食べたものの魅力を最大に引き出すことから、魅了の果実と呼ばれ、惚れさせ薬とも呼ばれる。

瀕死の状態で食べると、大地の魔力(マナ)を魅了する事で、回復を手伝う。


ーーーーーーーーーー



惚れ薬は聞いたことあるけど、惚れさせ薬って…

相手に食べさせても意味がなくて、自分で食べて相手を惹きつけるってヤツなのね。


そして、高級品。

この世界の食べ物で、高級品とかどれ程の価値があるんだろう…


考えてみたけどわかるはずもなく、違う方へと考えを飛ばした。


これを食べれば、少しは私にも色気とやらが出るかもしれない。

そして街を歩けば、リンランみたいにモテモテ…


大きく頭を振って、その考えを否定する。


顔見知り程度の人に、突然好意を寄せられても怖いだけでしかないだろう。

それでこそ、ニュースとかでよく見た、


一人暮らしでご近所さんに挨拶しただけで、好意を持ってると勘違いされて、ストーカーになって、挙句、事件に巻き込まれる。


そんな事になるかも知れない。



そこまで妄想して、はたと気付いた。


なんで魅力が増えた事でモテると思ったんだろう。皆無に等しい魅力が増えたところで、普通の人がちょっといい人、程度の変化だろう。


図々しい考えをした。



取り敢えず、私が持ってても持て余してしまう。

リンランに返そう。



そう決めて鞄に手を伸ばす。





「光ってる?」



え?故障?鞄なのに?無限収納の影響?


恐る恐る触れれば、ブワッと目の前にルーペで見たときのように四角いフレームが浮かび、鞄の中身を表示している。


スクロールして下に進めば、女神からの贈り物、という項目があって



ーーーーーーーーーー

〈女神からの贈り物〉


神酒×∞

禁断の果実×∞

圧力鍋

聖水×∞

ーーーポーション×∞


ーーーーーーーーーー


なる、謎の項目が増えていた。


ちょいまて、知らないうちに、禁断の果実が無限にあるよ!そして、何だか凄そうなお酒と水に混じって圧力鍋あるんですけど!

そもそも凄そうなものがお手軽入手って…



「はぁ…」



アン様、圧力鍋は嬉しいけど、他が色々おかしすぎるよ!チラリと手に持った果物を見て

鞄にしまった。

どっと疲れがきて、出かける気分では無くなってしまったのだ。リンランには次に会った時に返そう。

ダメになっても無限にあるのだ。


そう考えて椅子に、深々と腰掛けた。



いっそ、禁断の果実を数滴入れた惣菜でも作ろうかしら。此処の料理を食べると、魅力が増し、恋が叶う。的な噂とかになったりして?


否、それは何だかヤバイ薬のようではないか…


安価で美味しい物を、を目指しているのに、これを作ったら作ったで違う趣旨のお店になってしまう。

ただの林檎なら使い道も多くて、嬉しい事このうえないのに…


神酒と聖水も鑑定したほうがいいとは思うけど、見てもいいことがない気がする。


見てしまったけど、見なかった。


私は見なかった。


自己暗示をかけながら、数日後に控えた価格決定の時用の下準備を始めるのだった…




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