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女子会は和洋折衷で④


「スーランさん!何処で会えるの?」


「暫くは無理かな〜。変わった人でチーズが出来ると、ふらっと戻ってくるけど、チーズを各お店に卸した後は、また何処かに行っちゃうのよ〜」


きっと次は来月ね〜。と笑っている。


来月…長い…なんて思いながらも素晴らしいチーズと出会えたことと


可愛らしいリンラン


そして自分好みの料理とお酒。



今の私は無敵モードだ。



あのチーズは直接火にかざして、溶かして食べたらトローンと伸びて美味しそうだ。


ほら、アルプスの山でお爺さんと山羊と暮らしてる少女が食べてたような!


アレをクッペに乗せれば完璧だよ!



とか何とか考えながら、上機嫌で日本酒を飲み続けて気がついた時には朝になっていた。



ベッドに入った覚えはないけど、しっかりと着替えて寝ていたようだ。



ズキズキと痛む頭とほんのり残るお酒の匂いに頭を抑えながら体を起こせば、目の前で仁王立ちして、それはそれは素敵な笑顔で威圧的に此方を見ているリンランが目に入る。



「サラ、起きたみたいね〜、おはよう。けどね、成人している女性なんだから、お酒の配分くらいしっかりしなさい!それから…」



アレやコレやと次々に怒られ、それが頭痛を加速させる。


こんなに酔うまで飲んだのは久しぶりだな、なんて考えていたら



「聞いてるの?」



と、また怒られた。



正座でお説教を聴きながら、リンランってしっかり物のお姉さんみたい。なんてぼーっと考えてたらまた怒られる。



そんな時間を過ごしていたらあっという間に時間は過ぎて、すっかり日は高くなり、立ち上がろうとした時には盛大に痺れた足で立つ事は叶わず、ベッドに突っぷす事になった。



ブランチはまだ遠そうだ。


………


……



今は遅めのブランチを食べている。



昨日の夕飯の合間に卵と牛乳で作った卵液に付けてあったクッペを、バターたっぷりのフライパンで焼いたフレンチトーストと、差し入れで貰った豚の塩漬を薄く切って周りの塩を軽く洗い、水気を切って、カリカリベーコンと、フレンチドレッシングで和えたサラダを出した。


「お好みで蜂蜜かけてね。」


と差し出せば


「また、そんな高級品を…」


何やらぶつぶつ言っていたが聞こえなかった。



いつもならフレンチトーストを作る時は、卵液に砂糖を混ぜて付けておくんだけど、人様に出す時は好みがあるからね。



たっぷり蜂蜜をかけて、ふわふわな状態のパンにナイフを入れる。中までしっかりと卵液が染み込みトロッとしている。


甘々にしたフレンチトースト、そしてカリカリのベーコンを交互に食べて口の中も、甘い、塩っぱいの繰り返しでドンドン食べれてしまう。


綺麗に全てを食べ切ったあとはコレ!

ピピラニのシャーベット。


昨日仕込んでおいたもので、シャーベットと言っても製氷機の器にピピラニのジュースを入れて凍らせただけの物だ。



どうぞと差し出し、口に含めば、リンランはこの女子会で何度目かの驚いた表情を見せた。


「ふわ〜〜っ冷た〜い、美味しい〜」


かなり気に入った様子でドンドン食べ進め、頭を抑えている。


「う〜〜〜っっっ」


冷たい食べ物特有の"キーーーン"が来たようだ。


あるよねー、真夏に暑さに耐えられず購入したカキ氷をガツガツ食べて、キーーーンが来て頭をポンポンと叩きながら誤魔化すアレ。


生暖かい眼差しで見守りながら、自分の口にピピラニのシャーベットを運べば、ヒンヤリとした冷たさと、ルーペで調べた通りグランベリーのようなサッパリとした味わいが口に広がった。


今度ピピラニのような果物のジュース買いに行こう。そして色々なシャーベット作ろう。と決意して食べ進める。


半分くらい食べ進めた時に"そうだ"とリンランが切り出してきた。


「サラは、ルヴェルトさんと付き合ってるの〜?」


ブーーーーッ


ゲェホ、ゲッ…ホッ


「…え、えっ、え?突然、何を…」


「慌てちゃって〜あ・や・しぃ〜」


突然の質問に胸がドキドキする。慌てて


「付き合ってないよ!ルヴァンは…」


はて?ルヴァンは私にとってなんだろう?

勿論、此方に来てサポートしてくれる使者として沢山お世話にはなっている。

そして、今は使者である事に違いはないけど、寝食を共にして、私の目標を一緒に目指してくれる"同士"?それとも困った時に手を差し伸べてくれる"家族"?どちらも合っているようで違う。そんな気がする。なら…


本格的に悩んでしまった私を見兼ねたリンランが、困ったように笑った後


「いつか、わかるといいわね〜」


と揶揄ったように言ってきた。


2人の関係を指す言葉が、何が正しいのかわからないけど、ルヴァンは大切な人だと言うことはわかった。


きっと居なくなったら…


チクン。


あれ?何だろう?言いようのない気持ちに覆われて、そこで、考えるのを辞めた。



其処からはひたすらたわいのない会話を続け、それはリンランが帰路につくまで続いた。





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