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ルヴァンの秘密②


「私、このままの姿だとサラ嬢のの手伝いが出来ないのでアンジェリカ様の提案で元の姿に戻らせていただくことになりました!」


何それ?


何とか朝食を終え何時もならまったりとお茶をしたり今後の方針について話し合うところだけどそれどころじゃない。

私の愛したもふもふフワフワが仮の姿だというのだ。


ダイニングテーブルを挟んで向き合いじっとりとした目でルヴァンを見つめればやはりいつも通りもふもふでフワフワで某ハチミツ大好きクマのキャラクターの様に背中に縫い目だったり、子供に大人気ゆるキャラの様に背中にファスナーなんで物はなさそうだ。

怪しむ要素は何もない!


もしかして本当の姿って…今のまま大きなもふもふに膨れ上がってサイズ感が変わるだけとか?

きっとそう!水をかけるとボムっと音を立てて大きくなる的なアレに違いない!


それならと希望が湧いてきた。


妄想の世界よろしく色々考えはっと視線を戻せば


「サラ嬢、見ていてくださいね」


と言った後何やら唱え始めた。


そうすればもふもふの体から白い光に包まれて目を開けているもの無理なくらいに光ったと思ったらあっという間に光は消えてそこには高校生位の執事服を身に纏った色の白く透き通った肌とクリーム色の柔らかそうなフワフワの癖っ毛、そしてクリックリの大きな漆黒の瞳を持つ少年がいた。

辺りには彼しかいないのできっと彼がルヴァンなのだろう。


うわ、可愛い。


ボーっと眺めていれば


「サラ嬢?」


と心配そうにこちらを伺ってくる


間違えるはずがない、ルヴァンが私を心配する時のそれだ。

確かめる様に


「ルヴァン…なんだよね?」


と言えばすぐに


「はい!」


と返事が返ってきた。


全然心配なかった!

だってもふもふでは無いけどフワフワな髪の毛に可愛らしい顔、癒される。

ルヴァンは全てが癒しだ。


カラダ中の力が抜け机の上に突っ伏すと何だか笑えてきた。


よくよく考えればもふもふであっても無くても誰も知る人のいない場所で今まで支えて一緒に居てくれたルヴァンに変わりないのに姿がどうのって悩んだり、仮の姿だと知って騙された様な気持ちになって少しモヤモヤしてみたり


「ふふ、あはははは…」


可笑しくなって思い切り笑えてきた。


ついには目尻に涙を溜めて笑い続ける私を見てルヴァンはきっと驚いているだろう、それか壊れたと思うかな?

そんな想像してもっと面白くなってきた。


こんな私でも彼は一緒に居てくれるのだ。

私は一人じゃないんだ。


一通り笑い、涙を拭えば気持ちはスッキリとして自然に笑えているはずだ。


「ありがとう」


と伝えれば何故?と首を傾げながらも温かい目をしている?


「よーし、お昼ごはんの準備手伝ってね!」


突調子なく何の脈絡もない話を振った私をどう思っているだろう?けど何故かはわからないけど今純粋に嬉しい。

いやわかってはいるけど言葉にすると何だかちっぽけなものになってしまいそうだからしないだけかも、こんな恥ずかしい位に浮かれた気持ちを知られたくなくて誤魔化す様に咄嗟に出た言葉。


立ち上がって台所に向かって足りない物を取り寄せた。


初めての料理だし時間はかかるかもしれない。

けど元々予定していたのはシンプルでいたって簡単なメニューだ、偶々食べたくて決めたメニューなのに何だかんだ上手くことが進んでいる。


「ルヴァンそっちの大きなお鍋にお湯を沸かして!」


「はい」


「そしたら火にかけたらこの塩を入れてね」


「塩をですか?」


「うん。それが無いと出来上がった時の風味と食感が変わっちゃうからね」


初めに大きめの鍋に水を入れて塩を入れてお湯を沸かしてもらった。

お湯が沸くまでにニンニクを微塵切りにして鷹の爪も輪切りにしてもらう。


見ていてドキドキする位に手元は危うくて


「ゆっくり、ゆっくりでいいからね、手はこんな感じに猫の手で」


指先を織り込む様に丸めて見せれば


「む、難しいですね、サラ嬢は簡単そうにやってるのに…」


「慣れだからね、ルヴァンも慣れたら簡単に感じるよ」


ゆっくりゆっくり切っていってる間にお湯が煮立っていたのでパスタを茹でてもらってタイマーをセット


「そしたらニンニクと鷹の爪を炒めるよ」


温めたフライパンを弱火にしてオリーブオイルを加熱しニンニクと鷹の爪を入れてゆっくり炒めていく、すると辺りはニンニクの匂いが立ち込め食欲がそそられるニンニクに色が付いてきたところで茹で汁を入れて塩と胡椒で味を整えてたところでタイミングよくパスタが茹で上がり硬さの確認をすれば丁度良かった。


茹で上がったパスタをフライパンに入れて上からオリーブオイルを垂らしてソースと絡ませたらシンプルなペペロンチーノの出来上がり。


「でき…た?」


「美味しそうにできたね!」


ルヴァンが頑張ってる間に千切ったレタスとカットしたキュウリとトマトと言う簡単なサラダにオリーブオイルとお酢、塩胡椒にレモン汁を入れて混ぜただけのイタリアンドレッシングをかけた物を作った。


スープは朝の残り。


机の上に並べたら11時を過ぎたところだった。


「少し早いけど今日は用事もあるしもう食べちゃおうか?」


「はい!」


「「頂きます!」」


ペペロンチーノを頬張ればオリーブオイルとニンニクの風味が鼻孔を擽る。


シンプルだからこそ誤魔化しの効かない料理、だけどしっかりとニンニクが絡まって塩梅も丁度いい


ヤッパリ微塵切りにして良かった。

初心者が作るときにスライスオニオンだとしっかりソースが満遍なく混ざりきらないことが多いので微塵切りの方が上手くいく。


「ルヴァン、美味しいよ!」


そう伝えれば凄く嬉しそうだ。


照れを隠す様にパスタを頬張る姿も今までの姿よりも表情が分かりやすい


「これからもよろしくね、そういえばルヴァンって何歳なの?」


「私は17歳です。」


「え!年上。」


勿論この世界での事なんだけど

そんな考えをお見通しと言わんばかりに


「サラ嬢の世界ですと同じ年ですよ」


「!!?」


「私はサラ嬢がこちらに来ると決まった時にサラ嬢と同じ地球で生まれ地球で暮らしながら使者代理としてファラーシオの事を学び一足先にこっちに来ただけなので」


なんたることか


「そしたら呼び捨てでタメ口にしてよ!」


そしてふと思い出した。

マスコットキャラの様な存在のルヴァンだからだろうか何かと気を許しすぎてお風呂上がりに薄着でブラブラしたり


あんな姿やこんな姿を見せてしまってる。


ボッと顔が熱くなる。きっと耳まで真っ赤だ


必死に身悶えているとルヴァンが理解した様に笑った。そして続ける


「わかった、あと、サラには初めに使者と伝えたけど本当はさっきも言った通り使者代理なんだ。だから実際はサラと同じ地球の人間ってこと。」


恥ずかしさを必死に押し込めて聞けば


「元々いた使者は衰退してしまってサラがこちらに来る時に手助けができる状態では無くなってしまったんだ。それで僕が選ばれたそして使者としての教育を受けたけど結局の所人間だから正式な使者にはなれないんだ。」


聞けば聞くほど恥ずかしい思い出しか出てこない

それが同じ地球の人間だと言うなら尚更


忘れよう、忘れるしかない…


そしてふと気が付いた


「私って生まれた時からここに来る事が決まってたの?」


「そうだよ、あとはアンジェリカ様がサラとこの世界の相性のいい時をみて時期を決めるんだ。」


もしかしたらもっと早かったり遅かったりしたのかもしれない。

結果今が一番いい時期だと…

と言うか完璧にルヴァンは巻き添えじゃないか


「ルヴァン、巻き添えにしてごめんなさい」


慌てて謝れば


「大丈夫、元々僕も刻跨ぎ人候補で偶々使者代理になっただけだから。本来ならサラ側だよ」


衝撃的な事実がドンドン公開されて情報が整理できず頭がパンクしそうだ。

抱えていた頭をあげてバッと目に入ったのは


「あぁーーー!時間、待ち合わせ!」


余裕があったはずなのに時計は12時半を過ぎていた。

待ち合わせは1時、お弁当詰めきれてない!


一気に考える事をやめてバタバタと準備をすれば残り10分ちょと、間に合わない、鞄にお弁当と水筒、紙袋に入れたオヤツを入れて鍵を閉めて家を出る。


「もーーー」


「サラ、手を…」


ルヴァンに手を引かれ走る


こんなに全力で走るのは久しぶりだ

ドンドン息も切れ切れになって苦しい


「はっ…はっ…」


「サラ、もう少し!頑張って!」


同じ様に走ってるのにルヴァンは息が切れる様子も見れない。


「ここまで来れば間に合う、歩こうか。」


「はっ…はっ…はぁ…」


息を整えながら汗を拭い歩く。

これからはもう少し運動をして体力を付けなきゃ…


そう心に決めて残りの道を歩く。


顔を上げれば空が青い。

色々な事を考えて爆発寸前だったはずなのに今はスッキリしている。


今日は農作業日和だ!






最後まで閲覧ありがとうございます!

そしてブックマーク数900件突破ありがとうございます!


ルヴァンは秘密を持ち続けることは出来ない正直者って事で早い段階での告白です!



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