彼
この1話だけは、ヒロイン目線でお送りします。
「ねぇ餅ベ、今度の夏休みに遊園地行かない?」
「行ってもいい。8月3日がいい。ちょうど予定がない。ユリもないだろ?」
「やったーーー‼︎」
彼の名前は、鈴木 健一。私の彼氏だ。なぜ餅ベと呼んだかと言えば、彼の着ていたユニークTシャツに因んだもの。2つの顔のある餅が描かれていて、片方は笑顔で高く膨れている。もう片方は殆ど膨れておらず、少し暗い顔をしている。その上に〈モチベーション〉と書かれたもので、彼のお気に入りのTシャツなの。
え?私?私の名前は塚下友理奈よ。可愛い可愛い高校一年生です!彼と同じクラスで、たまたま隣になったのがきっかけで付き合い出したのは、私の告白。その時彼は少し照れたような顔で
「そうだなぁ…取り敢えず付き合う前に1度デートしておこう。お互いのことを理解してからでも遅くないだろ?」
と、提案したの。意外と律儀よね。そのデートでどうしても落としたかったから、女の子っぽい服とか、色っぽい服はあえて封印して…胸がないわけじゃないからね!彼は硬派だから最初はそういうの嫌だと思ったからだからね!…封印して!清楚な格好で行ったの。で、頃合いを見計らって手を繋いだりしたいって夜に雰囲気作ったら、これまた意外にもホテルに入って熱い夜を過ごしたわ。うち、両親が今海外だから怒られたりもしない。それに、彼の提案でホテルに入る時だけバッチリメイクしたの。そうすれば学生だとはばれにくいからって。
今日は彼と遊園地に行くの!とってもとっても楽しみ。ちなみに、ゴムは用意済みよ!でも、さっきニュースで、[筋肉と脂肪だけが無くなった人間の死体が発見された]って言ってたのよ。だから少しダーティな気分。でも彼なら守ってくれそう。だって身長が184センチあって、運動神経も抜群!そんじょそこらのイカレ野郎なんかに負けないわ!
待ち合わせてた駅公園のベンチに行くと彼が読書中…その知的な横顔をパシャり!永久保存決定ね。
「餅ベぇ?待った?」
「イヤ、予定時間よりは五分早い。俺は更に五分先に来てただけだから待ったとは言わないと思う。あと『餅ベぇ』って呼ぶと『餅兵衛』みたいだからやめて欲しい。」
「そう?可愛いじゃん?」
「ならまぁいいよ。…行こっか。」
「行こ行こ‼︎」
因みに、今日は彼の要望で少し露出多めの服…今日はあの日よりもっと熱い夜になりそう。