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現代人、頭おかしいだろ!?  作者: けんぴ
1章 転生!現代生活の始まり
5/8

5話 出会い1人目

「はーい。皆さん、おはようございます。」


「「「おはよーございます!」」」


部屋の中から元気のいい挨拶が聞こえた。流石、子供は挨拶ひとつにもパワーがある。私の子供たちもそうであった。本当に懐かしい。


「では今日は皆さんに新しいお友達を紹介しまーす!勝さん、入ってきてくださーい。」


幼い子供たちに囲まれるこれからの生活に若干の不安を覚えながら中に入り挨拶をした。


「おはようございます。皆さん、名前は勝と言います。これからよろしくお願いします。」


…やはり皆ポカンとした顔をする。3歳児の挨拶はどのようなものなのだ!わからない。


「勝さんはしっかりした挨拶ができますねー、皆さんも見習いましょう。」


「「「はーい!」」」


その場は無事にやり過ごした。


「では名前を呼んでいきますね、秋山 みさきさん、飯田 夢子さん、石田 礼音レオンさん、…」


名前が呼ばれると元気よいはーいという返事が返ってくる。実にいい制度だ。ヒトに挨拶をすることは基本的なことであるが、最も重要なことでもある。立派な挨拶ができるというだけでその人物には好感を持てるからだ。逆に言えば挨拶ができないと相手は自分に対し程度の差はあれど、不快感や嫌悪感を抱くのだろう。


「遠藤 勝さん。」


「はい!」


「遠藤 守さん。」

「…はい。」


お?ずいぶんと似た名前の子がいるものだ。しかし、挨拶に関してはあまり元気がない。もしかしたら集団というものが苦手なタイプだろうか。末っ子のスコールによく似ている。あの子も幼少時の頃はヒトと会話をせず、パーティでもミリアから離れなかったものだ。しかし、好きな女が出来てからというもの、素晴らしく社交的になり、同時に人当たりもよくなった。男に変化をもたらすのは夢や目標、困難そして女だ。この守という幼児も15歳になるころには立派な青年になっているだろう。


「はい。今日も皆さん元気ですね。それでは授業を始めましょう!」


おお!授業だ。日本語を早いとこ一人前程度にまでマスターしたい。頑張らねば…



・・・・・・・・・・・・・・・・・・


結果として授業内容はとても初歩的であった。絵を見てその名前を答えるというもの。今日は動物についてだったが、母と日本語練習をしたり、トライ1年生をする中で大体の動物名は頭に入っている。

授業時間も30分行って15分の休憩。日本語の習熟度を上げるには不十分だが、そのうち知らないものもでてくるだろう。そのときを期待しよう。


「はーい、では日本語はここまで、次は算数ですよー」


おおお!一番楽しみにしていた。さあ、早く教えてくれ!


「今日は足し算に挑戦してみます。その前に、今日は勝くんがいるので、もう一度数の復習もしてみましょーう。」


「「「はーい!」」」


数字に関して母より30まで習っている。中々不思議な発音だったために覚えにくかった。特にナナだ。ナナという発音は魔人語で胸が大きい女性のことを指す。しばしば魔人語やアベル語のせいで言葉が覚えにくい。こんなことならいっそ言語に関しては記憶を無くしておきたかった。


「では勝さん、これは何個ですか?」


先生は両手に二個のリンゴを掴んでいる。


「2個ですね。」


「はい、その通りです。では次はみんなで1から10まで数えてみましょう!」


「「「いーち、にー、さーん、よーん、・・・・・・はーち、きゅー、じゅう」」」


うーむ。何というか、簡単だ。簡単すぎる。いや、我慢しなければ、私はまだ3歳なのだ。


「はい、よくできました。では足し算をやってみましょう。今リンゴが一個あります。リンゴ3個を増やすと何個になりますか?」


「「「4個―――」」」


なるほど、足し算は増算術のことか。初等部で習う基本だな。算術独特の記号はないのだろうか。


「そうですね。1足す3なので4個ですね。」


先生が前の白い板にペンのようなもので1+3=4と記述する。なるほど、+は増算を表し、=は結果を表すものなのか。いや、=に関してはいろいろな捉え方ができそうだな。面白い。しかし、なんだあの白い板は!!書いた後に四角いものでこすると字が消える。そしてまた書ける。そんなものはアベルにはなかった。素晴らしい、発明者は天才だ。


・・・・・・


そのような調子で授業時間は過ぎていった。そして昼食の時間。母が今朝料理を箱に詰めていた。その箱を昼に空けるように言われてよくわからなかったがこの時間のことか。この部屋には計20名がいるが全員机を動かし6~7名を1集団として昼食を採るようであった。


同じ集団には 秋山 みさき、楠 朱雀スザク、佐藤 恵美エミ、田中 ノボル、本田 樹里亜ジュリアがいた。どれも奇妙な発音の名前であったが特にスザクはアベル語で女性の下着を表す単語と同じ発音だ。スザクという男児の名前は忘れないだろう。


「ねーーマサルくんってなんか偉そうでむかつくんだけどー」


隣の秋山 みさきが話しかけてきた。むかつくという単語は初めて聞く。しかし、偉そうとは彰浩が母に上司の愚痴をこぼしていた時に使っていた。ろくでもない意味だろう。無礼な。


「むかつくとはどういう意味の単語なんですか?」


とりあえず気になるので意味を聞いてみる。


「えーっとねええーー、なんかこう、見てるととにかくむかつくって感じがするの!」


…本人もわかっていないのだな。まあ、あれだ。相手は3歳児だしな!無礼でも気にしちゃいかん。息子・娘のように接しよう。


「そうなんですね。お腹すきませんか?食べましょう。」


「「「いただきまーす」」」


先生の合図と全員での号令の後食事は始まった。食べるときに神に祈らないというのは不自然であったが、この世界での信仰する神がよくわからないし、幼子に聞いても無駄だろうから気にしないようにしている。


今日の弁当は 白米、ハンバーグ、野菜炒め、ウインナー、ゴボウ、プチトマトだ。どれも美味い。母の料理はやはり最高だ。しかも、冷めても美味い。


「おーーーー、マサルくんのお弁当とーってもおいしそう!いいなあ。ハンバーグ一口ちょーだい!」


むむ。秋山 みさきは結構積極的だな。あと名前の後にくんを付けるのはどういった意味があるのだ。この世界、呼び名にしてもやはり色々あるのだろう。


「みさきさん、あなたのお弁当もおいしそうですよ?わざわざ僕のを食べなくても…」


言いかけた瞬間。


「じゃあ私のミートボールも上げるね!はい!ハンバーグもーらい!」


な…なんだ、この女子は…了承していないのに他人の物を取っていったぞ…あ、このミートボール美味い。


「ハンバーグおいしい!ミートボールもおいしいでしょ?」


「はい。ありがとうございます。みさきさん。」


「マサル!みさきって呼んで!いい?」


…話が飛びすぎるな。子供は恐ろしい。あとさんを取ることには何の意味が?アベルであると敬称を付けない名前のみの呼び方は親しい友人にしかしないものだが…まあ、いいか。


「わかりました。みさき。」


そう言って返事をしながら様子をうかがった。


「う…うるさいわね!こっち見ないで!ばか!」


何故か見つめて名前で呼ぶと赤面してうつむいた。何故だ。意味が分からない。理不尽だ。子供とはこんなに理不尽なものなのか?ああ、精神年齢が違いすぎると付き合うのも疲れるのだな…。


その日はそれ以上面白いこともなく、ダンスという名前の奇妙な動きを練習した。なぜかみさきから何度か体当たりされたが何なのだ本当に。悪いことをしたか?覚えはない。恐怖しか感じぬ。


さて、ついに幼稚園生活始まりました!現代人の知識を付けていくジークフリントはどんなことを感じていくのか。物語が動き始めるのは彼の勉強が進んでから。今は第一歩です。なので少し飛ばし気味に幼稚園生活は描くことにします。

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