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2冊目
埃が舞うだろうから、と開けていた窓から風が吹く。大人っぽく見えるように伸ばした髪が冷たい風で私の視界を邪魔したかと思えば、私の表情を露にしていた。
「……加藤先生、泣かないで」
「先生、ほら椅子」
「座ろう」
「有難う、ごめんなさい」
情けないことに、涙が止まらなくなった私を図書委員の(特に女子)がそっと座らせてくれた。まだ手紙の半分も読んでいないのに、どうしても懐かしくて恋しくてたまらない。
私は手紙を封筒に戻し、1度、ゆっくりとまばたきをする。
「もう、大丈夫よ。仕事を再開しましょう。」
「「…はい」」
その日は5時まで図書委員のみんなと書庫の整理をした。その後、私は自分の仕事を片付けて6時30分頃に先程の手紙と共に、図書室を出た。
帰り道、バス停までの大して長くもない距離をいつもより何倍も時間をかけて歩いた。
高校時代は家族とこの町に住んでいたが、卒業と共に隣の県に引っ越した。私は今、独り暮らしで、バスと電車を使って通勤している。
それにしても私宛に手紙なんて……。
冷たい空気なのに、私の心は少し温度が高かった。