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隣の長谷川君

どうも、山石悠です。宿題が終わっていないのにこんなことをしてていいのか……。

まあ、終わらないわけではないので構いませんが。


今回は長谷川君のクラスメイト視点で話を進めてみました。


それでは、お楽しみいただければ幸いです。

「……ククク、今日こそトン松田を!!」

「たーつーみー!!」

「長谷川クーン!!」

「ええい!! うっとおしい!!」



 うっとうしいだぁ? しばくぞ長谷川!! ……そんな僕の想いが暴走爆走大暴走。女の子二人に挟まれているなんて、嬉しい以外に感想は無い!! この僕にも幸せよこせ!!



 ……すまない。少しおかしくなってしまっていたようだ。落ち着くためにも自己紹介する。僕は梅木。梅木克彦だ。隣にいる長谷川への制裁を考えているちょっとお茶目な高校生だ。

 そうだ。皆さんという誰かに訊きたい。長谷川への制裁はどのようなものがいいだろうか? 僕個人としては、磔にしてメリケンサックをつけてぼこる。磔にして油をかけてから焼く。磔にして重り付きで東京湾に沈める。などという物がすぐに出て来るのだが。…………あ、甘いか!? この程度ではぬるいと!? 予想していなかった。それで? どのような計画が? ……ふむふむ。なるほど。よく分かった。



「辰巳!! 子供は何人がいい?」

「長谷川君!! こんな奴よりも、私と子作りしましょうよ」



 ……ええ。皆さんが考えたのがいいと思いますよ。

 磔にし、爪をはぎ、皮をはぎ、指を切り落とし、消毒&止血し、足を数回に分けて切断し、消毒&止血し、手を数回に分けて切断し、消毒&止血し、ゆっくりと焼き、冷まし、電気を流し、殴り、蹴り、凍結し、解凍し、セメントで首から下を凝固し、東京湾に沈める(ここまでの過程で長谷川が意識を無くした場合、意識が戻るまでは制裁を中断する)、と……。

 文字にすると、なかなかに鬼畜な制裁ですね。猟奇的殺人ですね。殺して解して並べて揃えて晒してやる、ということですね。僕、あの話読んだことがないのですが……。ああ、関係無いと。そうですか。



「これ、私の自信作なの!! 食べて!! 私の愛が詰まった卵焼きよ!!」

「それよりもこれ!! 私の愛情が籠ったおにぎりなの!!」

「やめろ!! 俺には昼飯がある!!」

「「な、なんですって…………」」



 なんで、なんで長谷川がもてるのだろう。どうしてあんな奴に、クラスでも一番と言われる松原さんやどこのだれかも分からない美少女が近寄って行くのだろうか。仕方ないから、周りにいる同志たちを見る。こういうとき、僕らは眼だけで会話することができる。これが、僕らの能力である『視線通話』である。



「(この状況、いつも見ているがどう説明する?)」

「(どう考えても、あの二人が長谷川のことをす「「「(((それ以上は言わせねえ!!)))」」」……そ、そうか)」

「(そうか!!)」

「(何か分かったのか!?)」



 俺の、俺たちの同士が何かに気がついた。きっと、きっとこれが真相に違いない。



「(奴は、長谷川はあの二人を脅しているんだ!!!!)」

「「「「「(((((それだあああああ!!!!)))))」」」」」



 でかした!! よく真相を解明してくれた!! ……おい待てよ。それなら、あの二人を助けるために行動しなければならないではないか!!



「(同士達よ!! 我々はあの二人を助けるために、行動を起こさねばならない!!)」

「「「「「(((((そうだ!! 長谷川を切る(kill)のだ!!)))))」」」」」

「(ということは、斬殺刑にするつもりか?)」

「「「「「(((((そうだが?)))))」」」」」



 そうか。だが、僕には読者の方にいただいた最強の処刑方があるから、そちらを執行したい。僕は一度外した視線を再び向けた。



「(僕に、提案があるのだけれど……)」

「「「「「(((((何だ? 話を聞こう)))))」」」」」



 僕は彼らに僕知っている処刑方を伝えた。一つステップを踏むごとに彼らの目が輝く。僕はにやりと笑いながら締めの一言を言った。



「(諸君ら。君たちは世界の女性の防人の中でも、頂点を争えると思っている。……そんな君達の傍で、傍若無人に振舞っている長谷川を許せるのだろうか? いや許せまい!! 今だ!! 今こそ剣をとるのだ!! 長谷川を!! 我々の敵を生かしておくなぁぁぁ!!!!)」

「「「「「(((((イエス!! マイロード!!)))))」」」」」



 僕らは剣を取った!! そうだ。それは僕たちが奪われてきたモノ(幸せ)に比べれば、小さなものかもしれない。しかし、その一歩は僕たちにとっての大きな進撃になる!!





『……第三襲撃隊、戦闘配置につきました』

「了解。……全体に告ぐ。ただいまより、長谷川辰巳処刑作戦を開始する。お前たち!! ……殺るぞ!!」

『『『『『おうっ!!』』』』』



 長谷川。僕は、僕たちはお前たち(リア充)を許さない!! 駆逐してやる!! この世から……一人……残らず!!



『ターゲット、攻撃開始圏内に入るまで、五秒、四秒、三秒、二秒、一秒、攻撃開始!!』

『ヒャッハーーー!!!!』

『長谷川ぁぁ!! 小便はすませたか? 神様にお祈りは? 部屋の隅でガタガタふるえて命乞いをする心の準備はOK?』



 同士たちの叫ぶ声が聞こえる。それぞれが、今回の作戦に全力で取り組んでいる。僕も、やらねばならない。確か、長谷川は武器を持っていたはずだ。僕は手に持った武器を手に、とある英雄のように呟いた。



「行くぞ長谷川――――武器の貯蔵は十分か」



 トランシーバー越しに現場の大きな音が流れて来る。それを聞いていると、いきなり通信が入ってきた。



『隊長!! 第一、第二襲撃隊全滅。残りの襲撃隊も戦える数が半数を切っています!!』

「何っ!? 長谷川は何をした!!」

『長谷川は、タケノコの里と思わしきお菓子でギャアアアアアア!!!!!!! ……ザーーーーーーーー』

「くそっ!!」



 僕はトランシーバーを叩き付けた。何だって!! 長谷川一人で部隊を殲滅? 馬鹿な。襲撃隊はひとつの部隊でも三十人はいたぞ!!



『隊長!!』

「何だ!!」

『部隊の指揮権を一時的に私に下さい!!』

「何だと? トップは僕だ!! お前になんて渡せるか!!」

『隊長!! 戦いは指揮官室で起きてるんじゃない!! 戦場で起きているんだ!!』



 衝撃だった。だが、話の筋は通っている気がした。僕はここで話を聞いていただけだ。隊長がそんなことではいけないな。僕はフッと笑いながらこう言った。



「僕が現場に向かう。それまで指揮権をやるから時間を稼いでおけ」

『隊長』

「何だ」



 しばらく無言が続く。僕は準備をしながら続きを待った。そして、しばらくするとトランシーバーから彼の声が聞こえてきた。



『時間を稼ぐのはいいのですが――――別に、あれを倒してしまっても構いませんよね?』

「…………ハハッ、いいだろう。やれるものならやって来い」

『了解しました』



 通信が途切れる。僕はトランシーバーと持てるだけの武器を持って、走り出した。




「はあ、はあ、はあ…………っ!!」



 そこは、戦場などではなかったと知った。周りに倒れ伏している同士たち。そして、その中心に立つ……



「……長谷川」

「……ん? お前がこいつらのリーダーか?」



 そう言って、にやりと笑った。こいつ!! 同士たちを殺したことをなんとも思っていない!?(※誰も死んでいません。気絶しているだけです。彼も分かっています)



「貴様……よくも同士たちを……!!」

「なんだ? こいつらを嗾けたのはお前なんだろ?」

「だから、何だ」



 奴は自分は悪くない、と前置きしていった。



「悪いのは……お前だろ?」

「何?」

「そうだろ。俺はやってこなければ、なにもしなかった。なら、責任はやらせてしまったお前にある」



 奥歯を噛む。ギリッ、という音が頭に響いてストレスが増える。僕は何も返せず、ただただ黙っていただけだった。



「……まあ、楽しかったから、こっちとしては何の問題もないしな」

「何だとっ!!」

「俺はな……楽しく生きていたいのさ。だから、今回の件は感謝してるぜ。楽しかったわ」



 そう言って奴はへらへら笑っていた。俺は悔しかった。


勉強もあまりできない。

スポーツも苦手。

容姿は中の下。

だから……告白されないし、告白してもふられる。


 なのに、なのに奴は僕に無い物をたくさん持っている。


勉強は学年一位。

スポーツも得意。

容姿も上の中。

だから……告白されたし、告白する必要もない。


 おかしい。世の中は平等だ。なんて言っている奴がいる。でも、それは嘘で偽りで間違いだ。



 世の中は生まれた時から不平等だ。


容姿。

地位。

才能。


 更には先天的な問題もたくさんある。障害を持っていたりすることなんて、ざらにあるのではないだろうか? その点で言えば、僕は恵まれているのかもしれない。



……だが、やはり羨むのだ。自分よりもいいものを持っている奴を。



「……やる」



 だから……僕は、僕たちは立ち上がったのだ。


その不平等を覆すため。

その当たり前に立ち向かうため。

その常識を破壊するため。


 そして、この世界に……抗うため!!



「……ってやる」



 手に力が入る。手に持った改造エアガンは普通の銃には劣るが、かなりの殺傷能力を持っていると思う。僕はこれの改造方を知らない。これを改造したのはこの何処かに倒れているであろう同士だ。



 世界の改変は神にしかできない。いくら、


地位があろうが、

富があろうが、

才能があろうが、


 この世界で生を受けた人の子であるのなら、決して、できない。僕らには世界を変えることなどできないのだ。



 そんな人の子は、甘んじて世界のルールにただ従うことしかできないのか?



 否だ。答えは否である。不服なら、


訴えるのだ。

伝えるのだ。

吼えるのだ。


 そう、人は、人の子は否定ができる。


僕は否定する、世界を。

僕は拒絶する、事実を。

僕は反対する、現実を。


 この世の不条理を消し去る。完成した物は滅びる。盛者必衰。



 知っている。だが、僕は止まらない。この、不完全な世界を完成させろと訴える。



 そして、手に入れる。


幻想だった物を。

空想だった物を。

夢想だった物を。


 そう、それは僕らの渇望する物。この、不条理で不平等な世界では手に入らなかった物。



 そう。それは……















彼女だ!!



 なんであいつばかり!! と叫ぶこともない!! 涙することもない!!



 僕は、僕たちは彼女を手に入れるために、立ち上がったのだ!!



「……ってやる」



 長谷川は何も言わない。僕の、僕たちの崇高な目的の前に何も言えないのだろう。だが、安心するといい。



 僕たちは平等を望む。お前のような敵だって、味方にしてやる。……世界が変わったら。



「やってやる」



 はっきりと口にした決意。僕は手に持った決意の結晶をグッと握りしめる。そして、ゆっくりと顔をあげた。



「さあ、戦いを始めよう」



 …………静寂だけが、世界を支配する。僕は、目の前の情景に愕然とした。そして、唇を震わせながら呟いた。



「……き、消えた……」








「辰巳? 彼らはあのままでいいの?」

「ん? まあ、別にいいだろ。すぐに起きて帰っていくしな」

「そんなものなの?」

「そんなものだよ」



 少年は軽く笑って、隣の少女の頭をなでた。



「辰巳? 今日のご飯は何がいい?」

「そうだな……結構動いたし、肉だな。肉」

「そうね。今日は豚肉が安かったわ。早く行きましょ」

「おいおい、引っ張るなよ」

「早く早く」

「はあ……仕方ないな」



 少年は少女と共に走る。





 夕日が沈む。こうして、今日も楽しい一日が終了したのだった。

……どうして、こうなったのだろうか。


もともとは、普通に見て終わるはずが、なぜかこんなことに……。


まあ、気にしませんがね!!


これ、もともと「あっ!! 消しゴム……」の前に出そうと思っていました。その前に向こうを出してしまったのだけれど。


まあ、そんな感じだったのです。アハハ……


ということで、終わりたいと思います。前回の意味不明な伏線を回収しないといけませんからね。


それでは。


See you next time!

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