壱話:第一印象って大抵当てにならない
という事があったのが、大体一年くらい前。あれから色々あって、今は二人旅をしている訳なんだけど……
「はぁあ~んゴウキたんprprクンカクンカprprクンカクンカprprクンカクンカprprクンカクンカもっと私を蔑んだ目で見てぇ~そして出来れば罵ってぇ~」
この変態吸血鬼をどうにかしてほしい……いや、初めの頃はまともだったんだ。でも、時間が経つにつれてどんどんおかしくなって逝ったというか……なまじ美人だから性質が悪い。コレが所謂『残念な美人』ってヤツか……誰かこの淑女どうにかして……
「カミーラ……いい加減にしないと夕飯抜きにするよ?」
「はい黙ります」
今俺たちは、特に行く当てもなくぶらぶらと気楽な旅をしている。いくら日本とは言え、どうやらここは俺の知っている日本ではないらしい……というか、同じ世界かどうかも疑わしい。そもそも、俺自身が鬼のハーフだし。彼女は吸血鬼だし。
ぶっちゃけ妖怪とか普通にいる。でも侍とかが普通にぶった斬ってる。怖い。陰陽師とかもいる。マントラだかなんだかわかんないけど、呪文唱えて封印したり消滅させたり成仏させたりしてる。俺らも正体バレた瞬間攻撃された。怖い。でもそんな連中でも平然とぶっ飛ばしてるカミーラはもっと怖い。
牢屋にいた頃は徳川とか言ったから今は江戸時代だと思ってた。実際江戸もあって幕府もある訳だけど……なんか釈然としない。いや、大半の人間はごく普通の人間だよ?さっき例に挙げた連中は極一部だよ?ただ……そんな極一部の内に入っちゃってるだけで……
「どうしてこうなった……」
いや、ホントマジで……鬼のハーフってだけでもアレなのに、不思議パワーで不思議な術が使えます。でも役に立ってるから文句はありません。そこまで細かい事を気にしていたら生きれません。わりと厳しい環境ですよこの世界……
そんな世界ですが、隣にいるこの変態は気にせずぶらぶらしているらしい。気にせずにいたから、自分が何年生きているか分からないほど。アホか。この吸血鬼アホなのか。でも超強い。太陽とか平気だし、川とかで普通に泳いでる。でもニンニクとかはだめらしい。臭いとか。あと銀とか十字架とかも。嫌いらしい。
そういう俺もまぁ強い部類に入るらしい。そりゃ半分は鬼ですもの。それで強くないとか嘘だろ。不思議パワーで火とか出せるし、幻術とか使えるし、変装とかできるし。あと刀とか何か知らんけどすげーしっくりくる。別に剣道とかした事ないのに灯篭斬りとかできた。刀も壊れたけど。
そんなこんなで、今まで生きていけています。襲ってきても返り討ちにできるし、宿とかは変装とか幻術でどうにかなるし。同行人は変態だけど、俺が本気でいやがる事はしないし……しないし(震え声)
「どうしたのゴウキ?どっか悪いの?お姉さんと一緒に寝る(ハァハァ)?」
「なんでもない……今日のご飯どうしようか考えてただけ……」
いやさ……いくら人外の吸血鬼とはいえ、そうとうな美女なんだよこの人?胸はデカいし、腰とか細いし、尻とか安産型だし。光に反射して輝いているパツキンロングで、顔は芸術品のように整ってるし……俺だって最初の頃はドキマギしてたさ……今はご覧の有様だよ!!
どうしてこうなったのかねぇ…………いや、原因は一応分かってる…………認めたくないだけで、本当は知ってるんだ…………彼女がこんな風になっているのは、自分の容姿や不思議パワー……氣の性質だってことぐらい…………
俺の父は鬼だ。鬼と言うのは美男美女に化けて人間を攫ったりする。俺の母を攫った時は、人外レベルの美系だったと聞きます。実際人外だったんだけどな。そして俺の母は、鬼も見惚れるほどの美女だ。俺の記憶の中でも、母親じゃなかったら惚れちゃいそうなくらいのレベルだ。そんな二人から産まれた俺だ。あとは想像に任せる。
そして氣の性質……そもそも『氣』というのは所謂生命エネルギーのことであり、これは万物に宿っているモノだ。コレが多いヤツは特殊な術が使えたり、人外に襲われやすくなるらしい。俺?隣にいる変態がこんな風になっている時点で量も質もご察し下さい……
説明のようで説明になっていないですね。まぁ、そこまで細かく設定していないので、細かけぇことはいいんだよの精神でお願いします(メメタァ)
「ゴウキタソの悩み顔prpr。目に焼き付けろ私……今この瞬間を未来永劫記憶に留めておくために……」
「はぁ…………今日はどっかで食べようか……何かもう……ね……」
「なにゆえ!?」
こんな俺たちの、お気楽?旅です。はい。