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プロローグ:彼の事情

これ以上連載増やしてどうすんの?バカなの?死ぬの?むしゃくしゃして書いた、後悔も反省もしていない。


 闇……一切の光も届かない地下の牢獄。堅牢なその作りの中には、これでもかというくらいに鎖に縛られた者がいた。

 その者は微動だにせず、まるで死んだように……


「zzzzzzzzz」


 ・・・。訂正……寝息を発てて爆睡していた。どうやらそうとうな図太い神経をしているらしく、鎖で繋がれていというのに、寝るほどリラックスしていた。というか、明らかに寝れるような体勢ではない。まるで磔になっているような体勢だというのに……これだけ爆睡しているという事は……それだけ長い間、この格好で過ごしているという事を物語っていた。

 髪はぼさぼさ、身体は傷だらけ、垢に塗れて不潔なことこの上ない風貌だった。このような扱いを受けるのは、余程の大犯罪者か忌み嫌われた者くらいだろう。そしてこの者……この子どもは後者だった。まだ年端もいかないこのような幼子が迫害を受ける理由……それは彼の親にあった。

 彼の父親は……人ならざる者、畏れの象徴、ただ強きモノ……『鬼』だったのだ。その鬼と交わった母親も、迫害を受けていたが……同時に憐れみも受けていた。文字通り人外の力を持つ鬼相手に見初められるほどの美女だった彼女。抵抗など意味もなく、彼を身籠ってしまった。

 しかし、どうであれ子どもは天からの授かり物……彼女は鬼の子を愛を持って育てることを決意していた。勿論周りの人間は猛反発していた。だが、彼女の決意は固く、その瞳には母としての強さと覚悟が溢れていた。周囲の反対を押し切り、村から離れた小さな小屋で我が子を産み育てることを条件として、周囲を納得させた。少なくともこの時は。

 そうして無事、彼が産まれて、彼女はそれを喜んだ。例えその子の片目が、燃えるような赤目であり、

もう半分は黒であるが、まるで奈落の底の様な黒さの眼であっても……この子が我が子であることには変わりない。自分がお腹を痛めて産んだ、可愛い可愛い愛し子だ。

 そうして、我が子に『剛樹(ごうき)』という名を与えた。剛樹は母の愛を一身に受け、すくすくと成長していったが……母は出産後すぐに働き始めた無茶がたたり、彼が五歳の時に亡くなってしまった。

 これにより彼の生活は一変。村の人間からは、『彼女が死んだのは、この鬼子が殺したからだ』などという言いがかりを付けられ、迫害と暴行の日々が始まった。忌子、鬼子と蔑まれ、何か不幸なことが起きれば、お前のせいだと言われてまた暴力が降られた。

 食事や水は必要最低限。傷の手当てなんてされるはずもなく、優しかった母はもういない。半分が鬼として生まれたため、自分はこの様な目に合っている……周りからは蔑まれ、殴られ、蹴られ、唾をかけられる。この言いようのない感情……それが怨みという感情であるという事は、幼い剛樹にはまだ分からなかった。

 そうして時が過ぎ……ある日突然、剛樹は変わった。怨み辛みで染まった黒と赤の眼は、まだ母がいたころに戻り、痛みと悲しみで憔悴した身体は……依然としてやせ細っているものの、雰囲気は妙な力強さが産まれた。まるで別人になったような変わりように、村の人間たちは恐れ、扱いは余計にひどくなったが……剛樹はまるで気にしていないようだった。


「zzzzzz……んっ?」


 目が覚める。ぼさぼさに伸びまくった髪がそうとう邪魔だが……こんな状況では見えようが見えまいが関係ないので問題ない。


「んーー……暇だな……」


 どのような暗闇であれ、この目は問題なく周りを見渡せる。相変わらず殺風景なところだと剛樹は思う。まぁ、牢屋なんてそんなものだ。ましてや、ここは地下らしいのだ。こんなものであろうと思う。


「逆に、豪華な牢獄ってなんだよ……オーストラリアにそんな刑務所があるらしいね。この時代にある訳ないけど」


 呟くような独り言。それがやけに響くが……着目するべきところはそこではない。今の時代は、十七世紀初頭。丁度江戸時代に差しかかったところだ。オーストラリア大陸は1606年にオランダ人に発見され、植民地には向かないとされて放置されたのだ。それから大体百年くらい経って1770年にようやくスコットランド人が入植を始めたのだ。

 この時代の日本人にそんな知識がある訳がなく……例え時代が違って、知っていたとしても……迫害を受けている子どもが知っている訳がない。では、なぜ知っているのか……それは、


「いやはや……どうしてこうなったのかねぇ……気付いたらこんな状況とは……」


 今の剛樹は、『剛樹であって剛樹ではない』からだ。


 度重なる暴力、母の死、迫害、恐怖などなど……例え半分が人外であろうと、未熟な幼子にそれらが耐えられるわけがない。何時しか精神は崩壊し、生ける屍と化した剛樹だったが……死にたくないという思いか何かか、まったく別の形で生きることとなった。

 これが巷で有名な憑依とか前世の記憶というヤツなのかは、定かではないが……『中の人』的には、並行世界とかそんなのがしっくりくる感じはする。根拠はないが。


「ん?……何か騒がしいな……」


 騒ぎ立てる人々の声、何かが破壊されるような音、炎によって何かが焼かれた臭い等々、人外の並外れた感覚は容易く異変を捉えることができる。しかし、何があったのだろうか?燃える音と臭いのほかに……何か妙な臭いが混じっている……火事で家が燃えているなら、人や家畜が燃えてあの鼻につく臭いがするだうろが……というかしているが……どうにもそんな臭いではない。


カツーン、カツーン


 足音が響く。地下にあるこの牢屋に来るためには、石畳でできた通路を通らなければならないが……その妙な臭いが一段と強くなった。単純に、扉が開いたせいかと思ったが……どうやら違うらしい。そもそも村の人間がここに来る時は、慌ただしく入るか、おっかなびっくり入るかだ。この足音は、いたって普通に歩くスピードでこちらに来ている。


「あら、本当にいたわ」


 女性の声。場違いなほどに純粋な感嘆から出た声は、その女性の性格が滲み出ているような感じだった。


「んー……とりあえずここから出ましょうか」


 そう言って牢屋の扉をブチ破る女性……腕を振るっただけで鉄製の扉が紙屑みたいに破壊された辺り、彼女は自分と同じような存在なのだろう……



 これが、カミーラ=(アルカード)=ツェペシュとの出会いだった。


名前からしてバレバレな相方。次回はその相方視点でお送りします。最新は近いうちにできたらする。保証はできない

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