オイル・アトラクション
なんか書いてしまった……
紀元前。
ギリシャのとある塔。
「すべての人間の一生は、神の手によって書かれた童話に過ぎない」
某聖人のように油を注がれすぎてギトギトの異邦人が言った。
「私の一生が童話であるはずがない。ならば、私は人間ではないということになってしまう。」
ギリシャ彫刻のように完璧なオイルを塗ってテカテカしている肉体でポージングをしながら私は言った。
その時――
ギリシャの大地が真っ二つに裂け、地の深淵より魔王が姿を現した。
「ついに気づいてしまったか、わが息子よ!」
「!?」
「!?」
私と異邦人は同時に驚きを示した。
見事なまでのシンクロ。
シンクロナイズドスイミングでも満点を取れそうなほどの共鳴であり、もしかしたら私たちは前世で双子だったのかもしれないと思わされた私は、その瞬間、ハッと気づいて彼の方を見た。
見られていることに気付き、私を凝視している異邦人。
何やら二人の世界が発生し、疎外されていることに気付いた魔王。
異邦人ではなく、王の方が疎外されるとは、いったいどうしたことだろう。
それはいい。
問題は、魔王の言うことが本当なら、私は人間ではないということだ。
あるいは目の前の彼も……
「もしかして……お前も人間じゃないのか……?」
ハッとしたように目を見開いた異邦人。
言うか言うまいか逡巡した様子を見せ、やがて覚悟を決めたように決意の表情を湛え、こちらを真っ直ぐに見る。
私は仲間を見つけた歓喜に震えながら、彼が口を開くのを今か今かと待った。
そして――
「ふつうに人間だけど?」
ズッコケた。
オイルのせいである。
私はこんな危険物規制するべきだと思った。
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