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落とし物預かり所の、饒舌なネクタイ  作者: yuzuyuzu


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落とし物預かり所の、饒舌なネクタイ

「おい、そこの駅員の姐ちゃん! さっきからあくびばっかりしてやがるな。しどい面してねえで、さっさとあっしの旦那を探しやがれってんだ、べらぼうめ!」


いつも通りの日常

私はとある駅で落とし物預かり所で働いている

主な仕事は電車や駅の中で見つけられた名もなき落とし物を預かり

落とし主に返還することだ

落とし物がきちんと持ち主に変えることが1番嬉しい

基本的には期限が来ても誰も迎えに来ないものが多いからだ

そのようなものはよく販売会で販売することで売上につなげている

他の新しい人の手に割っていくこともじみに嬉しかったりする


そんな私の日常がある日唐突に壊れたのだ

壊れたという言い方は少し悪いのかもしれない


朝、いつも通り準備を行い

眠いまなこを擦りながら頑張って出勤して

いつも通り制服に着替えて

さあ、今日の落とし物はどれかなと分別を始めるところで奇妙な声が聞こえてきた

「おい、そこの駅員の姐ちゃん! さっきからあくびばっかりしてやがるな。しどい面してねえで、さっさとあっしの旦那を探しやがれってんだ、べらぼうめ!」


急な江戸っ子で大変驚いた限りだが一体誰なのか

そんな江戸っ子が現代社会にいるとはなかなかに考えられないし

同僚にもそんな風変わりな人はいなかったはずだ

もちろん落とし主が江戸っ子だった可能性は否めないが何せ朝イチなのだ

周りを見回してもまだ誰もいない


「オイラだよ!!!ここだここ!!」

そう続け様に声を変えられ

思わず声の方にお顔を向けるとそこには赤いネクタイがあった


????

とても困ってしまった

幻聴なのか?

まさかネクタイから声がするだなんて普通に考えておかしいと思う

うん

誰かに相談しても頭がおかしくなったと思われるのがオチだ


「オイラは赤いネクタイの銀次ってんだ!!よくみやがれ小娘!!」

どうやら本当にネクタイから声がしているらしい

しかも小娘呼ばわりされた

もう立派な大人だお酒だって飲める

「あのね、初めましての人にかける言葉がそれ??ってかよく考えたらネクタイが喋るなんて普通考えないでしょ」

「ま、そりゃそうだな、悪ぃ悪ぃ! そいつぁともかくだ、この隣のハンカチ公がさっきからメソメソ泣きやがって、湿っぽくてかなわねえんだ。姉ちゃん、どうにかしやがれ!」

そう言い終わると同時に、隣にあったハンカチから声がした


「私は主様の涙を拭いたり水で湿った手を拭いたりするのが役割なのに、全然迎えにきてくれない。。。もう私はいらないのかな。いらなくなっちゃったのかな、他の子がいるのかな。。。」

そう言い終えると同時に嗚咽し始めてしまった

どうやら今流行りのメンヘラちゃんのようだ

「さっきからずっとこの体たらくだ、どうにかしやがれ、姉ちゃんよぉ!」

「あぁ、もう!!一旦落ち着いて!!大丈夫だから。主さんのこと詳しく聞かせて」

そう声をかけると心なしかハンカチの顔がにこやかになった気がした


「ありがとう!!親切な駅員さん!!駅員さんだと色々な人を指してしまうから、預かり所のお姉さんって呼ぶことにするわね」

「ええ、それでお願い。ところで今後もし落とし物を探しに来たって人が来たらあなたの主さんか確認がしたいんだけど、特徴とかある?」

「そうね、どこにでもいる一般のサラリーマンだわ。特徴といえばスマホのストラップに娘ちゃんから貰ったプレゼントをつけているわ。なんだか白と黒の大きなものだったような・・。人間のことはあまりわからなくて。ごめんなさい」

そう言って落ち込んでしまった

「落ち込まないで、大丈夫きっと私が見つけ出すから!!黒と白の大きなものね、今のところパトカー、サッカーボール、あとはパンダとかかな、う〜ん。」


「ハンカチさん、あなたのことよく見てみてもいいかしら、もしかしたらヒントがあるかもしれない。」

「もちろんよ!ぜひお願いするわ!」

許可を得た私はハンカチを広げることにした

それはピンクのストライプのおおよそサラリーマン男性が持つとは想像がつかないものであった

よく見ると端っこにパンダの刺繍とお父さん頑張って

という文字が見える

「ハンカチさん、もしかして黒と白の大きなものってあなたにも刺繍されているこれ?」

「ええ!!それよそれ、私はそれがなんという名前なのかは知らないの。。」

「あいにくだがよ、そいつぁあっしの専門外せんもんげえだ。知らねえもんは知らねえんだよ、べらぼうめ!」


「一旦銀次は黙っててくれる?!これはパンダっていう動物なの。主に動物園にいて人気者なのよ」

「そうなの!人気者の刺繍が入っているだなんてとても嬉しいわ!この目印があれば主様は気づいてくれるかしら・・」



そんな話をしていると、噂をすればなんとやら

「すみません!こちらにハンカチの落とし物はありませんか?ピンクのストライプのハンカチで、刺繍でパンダが入っているのですが、、」

そう尋ねてきた会社員がやってきた


この人がさっきハンカチさんが言っていたサラリーマンの人かな

でもスマホを出していないからパンダのぬいぐるみがあるかどうかわからない・・・

そうだ


「ハンカチはたくさんあるのですが、もしよければそのハンカチの写真などお持ちではないですか?」

「あります!!娘からもらった大切なハンカチなので、もらったその日に写真に撮っていました」

そう話しながら立派なパンダのストラップがついたスマホを取り出した


「彼よ!!私の持ち主は!!やっと会えた!!」

これね、パンダのぬいぐるみのストラップは


「ちょうどそちらのハンカチが昨日届いたばかりなんです。すぐお持ちしますね。」

「ありがとうございます!!」


私は小声でハンカチに「よかったわね」と声をかけた

ハンカチからはもう声が聞こえなかったが微笑んだような気がした


「こちらのハンカチでお間違えないでしょうか?」

「そうです!これです!!よかったぁ、娘からもらった大切な誕生日プレゼントなんです。セットでこのストラップももらったんですよ」

「いいですねとてもよくお似合いです。大切にされていたのがとてもよく伝わります」

「本当にありがとうございます。これで無事に仕事に取り組めます」

そう言い終わるとサラリーマンは足早にさっていった


「ハンカチさん、よかった無事に主さんが見つかって」

「違いねえ! あっしだって、その湿っぽく泣きやがる野郎がいなくなってくれりゃあ、胸のつかえが取れてせいせいすらぁ!」

「そんな言い方して少しは寂しいくせに」

「そんなこたぁ、ねえやい!」


そっぽをむかれてしまった

とはいえ無事に落とし主が現れて一安心だ

あのまま現れなければ販売会にだされてしまいもう2度とも取れないかもしれないのだ

「いいか、これからはおめぇさんのこたぁ『番所の姉ちゃん』って呼んでやるよ。あっしがおめぇさんを一人前だと認めてやるんだ、ありがたく思いやがれ、べらぼうめ!」

「ありがとう銀次大好き〜〜」

媚びこびで答えてやった


そんなことを話しながら残りの時間を過ごす

ふと、そういえば銀次ってなんだ?

と思ったが落とし主が現れていないのは確かなので一旦考えるのをやめることにする


「次はあんたの落とし主が来るといいね」

と声をかけたがそっぽを向いてしまっている銀次には届かなかったようだ


次は誰が来るのやら

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