表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

作者: 芋姫

「・・・なあ。やっぱり俺たちがここにいるの、ばれてるんじゃないのか?」


俺の問いに相方はピタッと作業の手を止めた。杵を持った手を宙に掲げたまま、俺の顔をじろりと見る。


「だから、どうした・・?」 ドスの効いた口調で彼はつぶやいた。


「い、いや。さすがにマズイんじゃないか。」大パニックになるぞ、と言いかけた僕に相方は啖呵を切った。


「馬鹿野郎!ビビってんじゃねえよ!男が女になる時代だ。逆もまたしかり。・・・・うさぎが月で餅をついているのを見たくらいで、今さら驚く奴がいるかよ!!」


(・・普通に驚くんじゃないかな)とその時の僕は思った。


しかし僕は言わなかった。


先月、行きつけの飲み屋でピンクのバニーちゃんにフラれたせいもあるのか、彼はここのところ、機嫌が悪い。今も怒りのためか、長い耳がぴくぴくしている。


「・・・・・・・。」


これ以上は何も言わない方が良い、と判断した僕は黙って彼の怒りが収まるのをただ待った。


しばらくして相方は、肩で大きく深呼吸するといったん杵をゆっくり下ろすのだった。


少し落ち着いてきたな、というタイミングで僕は相方に悪かったよ、と言った。


彼も首を横に振りながら、再び杵を持ち直す。


僕もそれに応えるように再び、餅をこねる体制に入る。


今日は中秋の名月。


きれいな満月が出ているので、下界の人間たちがいつも以上に空を見上げているはず。


見られているような気がするのはきっと・・そのせいだ。



(うん、きっとそうだ。)と一人納得する僕。


そんな僕に向かって相方は言う。



『行くぞ。・・・・うさぎは黙って!!!!』


『餅つき。』


・・・・・・・・・・・・。


・・・僕たちは何事もなかったかのように恒例の作業を再開した。


僕は餅をこねながらふっと、思った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



つい答えちゃったけど、今のフレーズ、どっかで聞いたよな、と。







ついに100作目。最後の一行が書きたくて書いたようなもんです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。(ペコリ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ