ザ タイム オブ ラスト
企画の初日なのにラスト……。(笑)
因みにラストには『last(終わり)』の他に、『lust(欲望)』『rust(錆びつく)』といった言葉があるそうです。
といっても『lust』は強い渇望、特に色欲を差すため魔が差すと意訳するには弱く、『rust』は『Rust』とかいうプログラミング言語が最近人気なようで最早マイナスイメージばかりとは限らないようです。
あと『RAST』なんていうアレルギー検査もあるみたいですが、この作品に対する読者方の拒絶反応はいかに……。
朝起きたら──娘が私の首を絞めていた。
道理で息苦しさに目が覚めたわけだ。
まあそれも仕方ないのかも知れない。長年に亘る私の介護に心身ともに疲れきっていたのだろうから。最初は気にしないと言ってくれていた娘も結局は現実には勝てなかったのだろうね。
正直言えば死にたくはない。
だがこの世に未練があるわけもはない。子どもはみんな立自立しているし、孫たちも元気に育っている。それに旦那は既に去年向こうに旅立っているしね。
すっかり身体も弱り頭もボケた。そんな私じゃ娘夫婦に負担をかけるばかり。
ならばやはり私もそろそろ大人しく向こう側へ行くべきか。
誰かの呼ぶ声がする。
随分と若い二枚目な男だけど、はっきりと判る。あれは若き日のあの人だ。きっと私を迎えに来たのだろう。
振り返れば老婆の傍で呆然とする女性の姿が。そして正気に戻った途端、冷たくなったその骸躯に縋りつき号泣する。
だけど今の私にしてやれることは何もなく、できるのはただ憐れな娘の姿を眺めることだけ。
あの人が私の手を引く。
解っている。いつまでもこうしてはいられないのだと。
私はあの人に誘われ、光輝く天へと昇っていくのであった。
また殺してしまった……。
どうして私の作品って主人公の死亡率が高いのだろう……。