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俺思う、ゆえに俺あり!  作者: ミスター小町
26億円の部活動費編
36/113

生徒会 会計補佐誕生!

 生徒会室のドアが開かれ、アンドーはそこで岳人を床に立たせた。

その瞬間——予想外の展開が待ち受けていた。


 「うわぁぁあああ!!つ、ついに……!た、たすけが……!!」


 目の前に現れたのは、小柄な女の子。制服の袖を握りしめ、涙目で駆け寄ってきた。


 「……誰?」


 岳人が思わず呟くと、横から小早川雪乃こばやかわ ゆきのがすっと説明を入れた。


 「会計の宮前咲みやまえ さき。あなたの援軍よ。確か、面識あったわよね?」


 「援軍ってなんだよ。」


 岳人の言葉に応えるように、宮前が潤んだ瞳で袖をぎゅっと握ってきた。


 「せ、生徒会……か、会計が……!私ひとりに全部押し付けられて……!!もう無理なんですぅぅ!!」


 「いやいや、俺関係ないだろ……」


 岳人は明らかに戸惑っていた。だが、雪乃はお構いなしに涼やかな微笑を浮かべている。


 「だから、あなたを連れてきたのよ。期待してるわ、皇岳人すめらぎ がくとくん」


 その隣で副会長の錦野が、どこからともなく取り出した2本目の薔薇をくるりと一回転させ、俺の胸元に添える。


 「岳人くん!生徒会の未来のために、そして会計業務の安寧のために——会計補佐として務めるのだ!」


 「いや、俺、そんな話聞いてねえからな」


 「オレ、タマゴ、ワリマス」


 重低音のような声でアンドーが意味不明な助言(?)を飛ばす。


 「……意味わかんねぇ!!」


 騒ぎの中、宮前が今にも泣き出しそうな声で訴えてくる。


 「お、お願いします……!もう私、これ以上は耐えられません……!!!」


 岳人は頭を抱えた。


 (……いや、絶対面倒くさいやつじゃん……)


 しかし、ここで折れては流される男になる。


 「……で、給料は?」


 「出ないわ」雪乃はさらりと答える。


 「じゃあやらねぇよ」


 即答。


 「……でも、生徒会長としての私の権限で、部活動の予算配分を決めることができるのよねぇ……?」


 雪乃の声が、まるで猫が獲物をいたぶる前のような柔らかさで響く。


 「剣道部の去年の活躍は確かに素晴らしかったわ……でも今年の剣道部って……ねぇ?」


 「……おい」


 「その話しは置いておいて……剣道部、予算カットでもいいのかしら?」


 「やりませんとは言ってない」


 岳人は完全に陥落した。


 こうして——


 皇岳人は、生徒会補佐(会計補佐)という新たな肩書きを背負う羽目になったのだった。


 (……俺、もう部活やめた方がいいんじゃねぇか?)


 静かに天井を仰ぎ見た岳人の肩に、宮前が「よろしくお願いしますぅ……」と囁き、再び涙を浮かべる。


 その後ろで、錦野が薔薇をひらりと宙に投げた。


 「これより、生徒会補佐・皇岳人の新たな伝説が幕を開ける!」


 「いらん伝説作らせんな!!」


 「いいえ!これを成し遂げれば伝説になるわよ!」


 小早川雪乃が、錦野の話しを肯定する。


 「どういうことだよ?」

 

 「こういうことよ!」


 小早川雪乃は会計の宮前咲に合図を送る、宮前はおずおずと1枚の紙を岳人に手渡した。

 

 「なんだよ……桜が丘高校部活動今年度の予算報告書?これがなんだって言うんだよ……ん?……ゼロが1,2,3,4,5,6、7,8………」


「何じゃこりゃーーー!!!!!」


 そこに書かれていたのは、今年度に学校から回された全部活動費の予算だった。


 総額2600000000円。

 

 こうして、岳人は26億円の部活動費を巡る騒動に巻き込まれてしまった。

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