表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺思う、ゆえに俺あり!  作者: ミスター小町
オリエンテーリング編
26/113

仕組まれた追いかけっこ

 俺たちのチームを含む桜が丘高校の生徒たちは、逃げる校長を追いかけて周遊歩道を疾走していた。

遠ヶ崎、五郎丸、佐々木まで、怒号と笑いが入り混じる中で混沌とした“追走戦”が繰り広げられていた。


 その中で、朝比奈祐子先輩だけが、他の生徒とは違っていた。

 彼女は、最初から一定のペースを守って走っていた。焦ることなく、加速することもなく、まるで計算されたリズムでMTBに乗った校長のほぼ真後ろを追う。


 そして、校長が周遊歩道の急なコーナーに差しかかった、その瞬間——


 朝比奈先輩は芝生に身体を滑らせるようにして周遊歩道をショートカットする。

 芝生の道を切り抜けた彼女は、次の瞬間、校長の前に回り込んでいた。


 「校長、年を考えてくださいね」


 息を切らしながらも、涼しい笑顔で言い放つ朝比奈先輩。その姿に、後方から追いついた生徒たちは一斉に歓声をあげた。


 「もう逃げられませんよ!」

 「観念してください、校長!」

 「よっしゃー!捕まえたー!」


 四方八方から囲むように生徒たちが詰め寄る。


 しかし——


 「いや〜、さすがさすが!」


 校長はにこにこと笑いながら、MTBのハンドル部分のボタンをカチリと押した。


 ブゥゥゥンッ!


 鈍く唸る音とともに、MTBの後部荷台から何かが浮かび上がった。


 「な、なに!?飛んだ……?」



 小さな旗と共に、チェックポイントの小さな旗付きのドローンがふわりと舞い上がった。


 「ちょ、ちょっと!?空は反則でしょ!!」



 「校長、ずる~い!!」


 沙羅が抗議の声を上げる。

 それをきっかけに生徒たちのブーイングが一斉に上がる中、朝比奈先輩が呆れたように腰に手を当てる。


 「さすがに空は走れないわ〜」


 「いやいや!あれ、どうやって捕まえるのよ!」と島田。


 「マジで手段選ばなすぎ……」と鈴木が毒づく。


 「もしかしてこれ……ずっとこの調子かよ」と新井先輩も呆然。


 飛びつけば届きそうなところを飛行するドローンに、再び群がるように走り出す生徒たち。


 それでもドローンは軽快に空を滑り、生徒の頭上を逃げ続ける。




 そして……しばらくすると、ドローンは再び校長の荷台にスッと舞い戻った。


 「は?」


 生徒たちの間に、奇妙な沈黙が流れた。


 その直後、校長は再び自転車のペダルを踏み込み、次の加速をかけた。


 「え?また走るの!?マジで!?」




 「ねぇ、これって……絶対に追いつけないようにできてない?」


 鈴木が俺の隣でぼやく。


 「……だよな」


 俺もスマホのアプリを確認しながら、ふと呟いた。

 チェックポイントは確かに校長の荷台にある小旗付きドローンだ。


 「これ、もしかして、元々“追いつかせない”ようにプログラムされてるんじゃないか?」


 朝比奈先輩が追いつき、囲まれたと思ったらドローン。

 追いかけたら戻ってきて、再び校長が逃げ出す。


 「……仕組まれてる?」


 俺の疑念が、少しずつ確信へと変わっていく。


 「もしそうなら……次の手を考えないと」


 そう呟き俺の目は、空を舞うドローンから離れていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ