Ep.4 puppet「傀儡」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
研究資料
被験体No.H-420
通称:傀儡
身長 : 2.05m / 年齢 : 28 / 所有武器 : ショットガン「FABAR FP6」: ナタ
称号 : 破壊者
経緯 : 破壊者、守護者の計12人と兵士37名の殺害
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄0:12Am ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「. . . 」
男は夢を見ていた。
夢の中で女性の儚い声が聞こえる。
女性「ハイル」
女性「自分を大切にしてね」
ハイルが目を覚ます。
「. . . 」
じっと天井を見上げる。
ハイル「死なせてくれ」
冷たい水に浸かるように懇願する
「. . . . . 」
ベッドから立ち上がると、ある方向に目を向く。そこには壁に掛けてあるショットガンがあった。
「. . . . 」
床がギシギシと音をたてながら歩み寄った。
ショットガンの銃口を顎の下に突きつけ隣にあった椅子に座る。
「すぅ. . . 」
深呼吸して、そっと目を閉じた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄6:45Am ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
朝日が昇る。
青年「んんっむにゃむにゃ」
青年はすごく気持ちよさそうに眠っていた。
廊下の方から足音が聞こえる。
ギシギシと音が鳴る、そしてドアの前で止まる
そして、すごい勢いでドアが開く。
「おはよう!、今日こそ修行の特訓をするよ!」
少年が元気いっぱいな姿で現れた。
「あと1時間だけ」
「ダメ!」
少年は青年の布団を強引に引っ張り、無理やり外に連れ出してしまった。
その1部始終を見ていた少女は何事も無かったように朝食を食べる。
今日の朝食はサンドウィッチ、少女は常に新しい料理が出てくるのを楽しみにしている。
そこにハイルが朝食を食べに来た。
少女「おじさん、おはよう!」
ハイル「おはよう」
二人で黙々とサンドウィッチを食べた。
「ハムっモグモグ、ん〜!」
「っ. . . っ. . . 」
ハイルは食べ終わった後仕事をしに外に出る。少女は、外に出るのが怖いから一人家の中に残った。
「いってらっしゃい」
「んっ」
ハイルは頷き外に出た。
少女は窓からみんなの様子を眺める。
少年「ハアハア、あと10週!」
青年「ゼーハーゼーハー」
二人は木と木の間を往復する。
横で、トンっトンっトンっと斧で薪を切っているハイルの姿を見る。洗礼された動き、綺麗に真っ二つに薪を割る。少女はやがて飽きはじめ、家を探索し始めた。
青年の部屋が空いていたからそこに決めた。
中は意外と整っており本が何冊も並んであった。少女は本に興味を示す。
本を手に取り、開くと絵が描いてあった。文字は読めないが絵はわかる。ページをめくる前に青年が修行から帰ってきた。
「ハアっもしかして、ハアっずぅ」
青年の息は荒く、途切れ途切れである。
青年はベッドに腰を下ろし、深呼吸して息を落ち着かせた。
「本を読みたいのかい?」
少女が頷く。
「それじゃ、読むね」
 ̄ ̄ ̄人形と魔女 ̄ ̄ ̄
昔昔あるところに魔女が森の奥に住んでいました。魔女はとっても退屈で常に面白いことが起きないか森を散歩していました。そこに一人の女性と出会います。女性はとても好奇心旺盛で魔女が持っていた腕輪にとても興味津々でした。そんな彼女に魔女はひとつ提案を振りかけます。「この腕輪をあげよう。ただし、壊れるまで絶対に外さないこと」
女性は迷いなくすぐにその提案に乗り腕輪を貰いました。それから数年後女性は結婚し子供が産まれました。しかし生まれた子どもは死産でした。女性は酷く悲しみました。女性は魔女との約束を忘れ、自分にとって大切な腕輪を自分の子に渡しました。すると赤子が泣き始めました。
「ンギャーンギャー!」
女性は夢かと思い頬を常ります。痛みがある。女性は喜びました。そして自分の子を持ち上げようとした時、周りの視界が一気に暗くなります。女性は倒れました。そして両目を開けることなく生涯を終えました。魔女はそんな女性を見てとても喜びました。次に受け継がれる子を次の楽しみにし、魔女は楽しませてくれる人形を手に入りましたとさ。 the end
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
青年「どうだった?」
少女「. . . 」
首を横に振る。
青年「早すぎたかな?」
少女「悲しいよ」
そう言って絵本の女性を指さす。
少女「目消えちゃった」
青年「目が消えたんじゃなくて死んじゃったんだよ」
少女「しってなに?」
青年の心に迷いがあった。
青年「この世界から消えるってことだよ」
少女が泣く。
少女「うわあああん」
青年はわかっていた
青年「ごめん、悲しいこといって」
青年「でもね、知って欲しいことがあるの」
少女「ぐすん」
青年「いづれ人は消えて無くなる」
まだこのことを話すべきではないと
少女「ううっ」
青年「だからこそ今精一杯生きる必要があるんだ。」
青年「今僕たちが生きている世界は怖くて人が当たり前のように消えちゃうの」
青年の目が薄くなる。
青年「だからこそ、精一杯生きなくちゃ行けない. . 」
少女「. . . うん」
少女は青年の目が悲しそうに見えた。
青年「12歳から大人になる世の中だから早めに生死のこと、学ぶ必要があるんだよ」
青年の声が少し低くなる。
青年「こんな世界で希望なんて持っちゃ行けない. . .」
青年は少女に現実を見せつけようとしていた。青年の中にあったモヤが心を埋め尽くす。
青年はこれで少女は世界がどれほど醜く残酷なのか理解したと思った。しかし、予想していなかった答えが出た。
少女「変えたい!」
少女は叫んだ。
青年「. . .」
少女「こんな世界嫌だ!全部変えたい!」
青年「アハハ、どうやって?」
少女「わかんない、でもみんなの悲しい顔なんて私見たくないもん!」
青年は少しだけ考え込む。
青年は自分の幼少期を思い出す。
自分も昔少女と似たようなことを思っていた。それは、こんな世界で人が当たり前のように幸せを感じられる世界。けど、大人たちに否定され続けられ、好きなことから無理やり遠ざけられた。結果自分が感じた思いを忘れ、ただひたすらに自分の気持ちを隠してきた。ある日、家に少女がやってきた。少女を見る度、昔の自分を思い出すようになった。忘れていたはずの夢を思い出させる。
青年「昔の私を見てるみたいだ」
少女は顔を傾ける。
少女「よく分かんない」
青年「分からなくていいんだよ」
青年は優しく少女の頭を撫でる。
青年は笑顔を少女に向けた。
青年「君は純粋な心を持ってる。私みたいな大人にならないようにね」
少女「なりたいよ!」
青年はまたもや予想とは外れた答えに驚く、唖然としている青年を見て少女は喋り続ける。
少女「たくさん教えられる大人になりたい!」
青年の心の中のモヤが消える。
青年は理解したようで、笑みをこぼす。
青年「君はとても賢いね。」
青年は優しくて迷いーつ無い綺麗な目で少女の瞳を見つめる。
「ありがとう、兄さんの夢を見つけてくれて」
少女は少し戸惑う。しかし、感謝されているので嬉しくなった。
少女「どういたしまして」
そこに少年がやってきた。
少年「兄さんトイレ長すぎだよ!」
青年「ごめん、すぐ行く」
青年は少女の方を向いて一言
青年「私の夢、それは. . 」
そして、青年は笑顔を少女に向けて外に行ってしまった。
青年の夢を聞いた少女は、まるで自分の心に刺さった枝が心を守るように成長し、自分の一部として受け止めた感覚を感じた。
少女「. . . .」
少女は部屋を出た。
外に繋がるドアを見つめる。少女は歩き始めた。
少女はゆっくりと手を回し外に繋がる扉を開ける。
つづく