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灰色の世界で少女は色を灯す  作者: ハイバール ・レ
3/11

Ep.3 family「家族」

青年「大丈夫. . .大丈夫だから」

青年は少女を抱え、よしよし頭を撫でて窓のほうへ歩く。

青年「おっさん、朝食できたよう」


窓の外を見ると一人の大柄の男性が(たきぎ)を斧で真っ二つにしていた。

大柄な男は頷いた後に持っていた斧を木に刺し、家の中に入った。

少女は大柄な人を見て、少し怖いと感じつつも、少し心が軽くなったのを感じた。

男は2メートルを超えており20歳後半の見た目で、その瞳には空洞と言っていいほど瞳孔が黒で染まっている。いや、無いのかもしれない

男は無言のまま椅子に座り、皆が椅子に座ったのを確認し、食前の祈りを始めた。

全員手を合わせる。


父よ、

あなたのいつくしみに感謝して

この食事をいただきます。

ここに用意されたものを祝福し、

わたしたちの心と体を支える糧と

してください。

わたしたちの主イエス・キリストによって。

アーメン。


青年「アーメン」

少年「エーメン」

少女「メン」


青年「それじゃ、頑張った分、たくさんお代わりしてね」

青年はにっこり笑って、みんなの皿に料理を乗せた。


少年「モグモグ、おいしい!」

少女「ふぅふぅ、ハムハム、おいしい!」

大柄な人「. . . .ん 」

少年と少女はあまりのおいしさに食べつくしてしまった。

少年少女「おかわり!」

青年「はい、どうぞ」

子供たちはそれからも何度もお代わりして、完食しました。

「ふう、おなかいっぱいだね。」

青年はそう話すと、少年と少女が顔を合わせる。

今まで、左目が隠れてて気づけなかったが、少女の失ったはずの目がそこにはあった。

少年「すごい、目の色が違う」

少女「め?」

自分の目を触ってみる。

「わっ」

少女はなぜだか知らないが勝手に目が治ったと思いこんでいた。


その二人の会話を眺めていた青年が口を動かす。

青年「その目はね、昔の魔法使いが作った魔法の目だよ」

少女「まほう?」

青年「不思議な力を持っているってことだよ」

青年は少女の記憶を思い返させないように、魔法という言葉を使ってわかりやすく説明してくれた。

少年「ああ!ぼく知ってる!ロストテクロジーでしょ?」

青年「惜しい、ロストテクノロジー」

少年は残念そうに下を向いた。

青年「その目はね、おっさんがつけてくれたんだよ」

そして、大柄な人の方を見る。

大柄な人「. . . . 」

大柄な人は食器を片付け、皿を洗い始めた。

少年は大柄な人の隣に移動した。

少年「ぼくがやる日だよ」

大柄な人は無表情のまま手を止めて、また仕事をしに家を出ようとした。

青年「無口で照れ屋さんだったっけ?」

大柄な人は無言で青年の目を見つめた。

青年「うっ」


その時、少女が慌てて大柄な人の方へ歩み寄った。

「おじちゃん、ありがとう!」

そう少女は感謝を伝えて 大柄な人の足に抱きついた。

おじさんは無表情のままだったが、ほんの少し肩が緩んだのを少女は感じ取れた。

「エヘへへ」

少女は嬉しそうに、テーブルに戻ってお片付けの手伝いをした。

少年「ちょっゆっくり!」

パリィィンっと皿が割れる音が家中に響く。


そんな音に目もくれず大柄な男は外に出る。


言葉を(こぼ)

「家族. . . 」

昔、ある好奇心旺盛な女性のことを思い出す。

「. . . . 」

大柄な男は自分の手首につけてあった腕輪にそっと口づけした。



つづく









次回

EP.4 puppet「傀儡と呼ばれる破壊者」

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