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灰色の世界で少女は色を灯す  作者: ハイバール ・レ
2/11

Ep.2 nightmares 「悪夢」

稀に小鳥が巣から落ちることがある。大体は風に飛ばされたか、他の小鳥に押されるかで別れるが、自分で巣から飛び立とうとした小鳥はどうだろうか?

挑戦、勇気、好奇心、そして恐怖。当たり前だが自然の世界ではその行動が死へ招かれている。まだ空を飛ぶ力も無く、自分で狩りをすることも分からない小鳥は徐々に恐怖に駆られるだろう。今頃、小鳥は真っ先に後悔が脳裏に浮かび上がってる頃合だ。捕食者の腹を満たす存在になるか 、あるいは母が先に助けてくれるか。そんな希望は世界が許さない。なぜなら残酷であり、絶望が漂う世界であるから。その後の小鳥がどうなったのかは世界が教えてくれる。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Ep.2「悪夢」 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

目を開けた時夢なのかそれとも現実なのか分からないほどに世界が(おぼろ)に見えた。

「. . . 」

大きい人影が見える。

「. . . . 」

人影はなにかを持ってきた。

「. . . . 」

左は何も見えないが(ひたい)を触る感触がある。

自分に何かをしているようだが、徐々に意識が遠のいていく。やがて暗闇の空間に入った

「. . . . 」

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



「. . .っ!」

少女は夢を見た。

「ぅぅ. . 」

大きい黒いモヤに追いかけられる夢を、そして串刺しにされる寸前の自分が。


「. . っぁあ!」目を覚ます。心臓の鼓動が鳴り響く。少女は荒い息を落ち着かせほんの少しだけ一点を見つめる。ふかふかのベッドの上、木材でできた部屋。


「. . . . 」少女は部屋を見渡す。部屋は所々カビが生えていたり、蜘蛛の巣が角に張ってあるのが見えた。


「. . . . すっ」鼻をすすった少女は動けずにいた。

(こわい)


記憶に残る、あの日の出来事。

少女はずっとここにいたいと思った。


ベッドの上でうずくまりドアをじっと眺める。


どこからか、美味しそうな匂いが漂う。


部屋のドア奥から漂っていた。


おなかが鳴る。


空腹にはかなわなかったので仕方なく匂いのする方へと向かう。


少女は勇気を振り絞って足をピクピクさせながらもドアの前まで立つ


ドアを開けて、長く感じる廊下を体を震わせながらもゆっくりと進む。少しだけ開いてるドアを見つけた。


美味しそうな匂いはそこから来ていた。

その匂いを嗅いだ少女の緊張が緩和される。


少女はドアの下でひっそりと隠れて覗く。

そこには、動物の仮面を被っていて、体を隠すように赤みがかった服の中にまで包帯を巻いている。少し年上の少年がシチューを調理していた。


少年は誰か呼ぼうとしてドアの前に立つ

そこで灰色の毛布を見つける。


少年はなぜ毛布がここにあるのか疑問に思いつつも、持ち上げた。

そして、持ち上げたと同時に、中から急に手が伸びてきて少年の脇を突いた。

「アハハハハ」

「もう、やめて!、アハハ」

少年は笑い転げる。

毛布だと思っていたものは少女の髪で中から満面の笑みの少女が出て来た。

「エヘヘヘ」

少年が慌てた様子で立ち上がる。

「漏れるっ!」


さっそうとお手洗いに行ってしまった。

少女はいい匂いがする鍋を眺める。

目の前の椅子に登りお腹の空腹を満たそうと鍋に手を突っ込もうとした。けれど、熱くて手を引っ込めた。

「キャッ!」

咄嗟(とっさ)に指を口にくわえる。

少女は失った記憶を少し取り戻す。

女性の声「ふぅーふぅー」

熱いスープを代わりに吹いてくれる人の記憶。しかし、顔が思い出せない。


少女は鍋に向けて、口で風を吹かせた。

「ふぅー」

これで大丈夫とまた、手を突っ込ませたが、すぐに引き返した。

「ムーっ!」

お腹が酷く鳴る。

「きゅるるる」

少年のことを思い出した。


少年がやったように力いっぱいシチューを混ぜ始める。

「んんっ」


そして、そこに誰かがやってきた。

「料理はできたかい?」

髪を結んだ黒髪のメガネを掛けた温かそうな服を着た青年が眠そうに言う。

「ん?」

青年は少年から少女になっていることに気づく。


「やっと起きたんだね」

優しい声色で彼女に喋りかける。

しかし、彼女は具を混ぜるのに夢中で聞こえなかった。

そんな彼女を見て青年はクスッと笑った。そして静かに水と皿の準備をした。


そこから少し時間が経過し少年が戻ってきた。

「兄さんおはよう!」

少年が挨拶する。

「おはよう」

青年は優しい声色で返す。

少年は一生懸命具は混ぜている少女を見た途端すぐに火を消して、少女の手を止めた。

少年「もう出来上がっているよ」

少年「ほら、一緒にテーブルまで運ぼ」

少年は元気いっぱい少女に話す。

少女「うん」

ゆっくりとテーブルの上に乗せてテーブルに座った。少年は少女に食事のマナーと食べる前の祈りの言葉を教えた。

少年「分かった?」


少女「分かった!」


少年「じゃっ. . 」

少年が祈りの言葉を言おうとした時


少女は一人いないことに気づき青年に話しかけた。

「ねえねえ、おっきい人どこ?」

少女は眠っていた時に感じた温かく広い背中の人を探している。


青年「おっさんなら、外でお仕事しているよ、ほらあそこの窓」


それを聞いた少女はすぐさま部屋から出て外に出ようとした。そして扉の前で立ち止まる。その様子に青年が気づく。


少女は外に出ることを拒んでいた。あの日自分に何が起こったのかを思い出させる。友達を置いて逃げた記憶。

少女は息苦しくなった。今にも泣きそうなくらいに。



そこで青年はそっと少女を抱きしめた。

「ここにいるからね. . . 」

つづく







完成度20%

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