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第3話 腐りきっている国


「ダイラルは知らないかもしれないけど、この国。いいえ、人族は腐りきっているわ」


 俺が首を傾げていると、アリスは淡々と話し始める。


「思い出してみて、私たちを暗殺しようとしてきた人たちの言動を」

「あ……」


 言われてみればそうだ。俺たちを殺そうとしてきた人たちは、アリスを標的にしていた。つまり、アリスの顔を認知していた人物ってことだ。


 アリスは王族であることから、暗殺される可能性が無いわけではない。でも、あいつらは出来損ないと俺の事を言っていた。つまり、俺の事も知っている人物ってことだ。


「少しはこの国が終わっていることが分かってもらえた?」

「あぁ。でも、エルフの第三王子がどこにいるのかは分からなくないか?」

「そうでもないよ。私を知っていて、尚且つダイラルのことも知っているってことは、王族または貴族の中でも位の高い爵位を持っている人物が監禁している可能性が高い」

「なんで?」


 俺が首を横に傾げて、アリスのことを見つめると、こちらを指さしてきた。


「ダイラルの顔を知っているのは、この国に住んでいる貴族全員。それに加えて、私の顔を知っている人物は貴族の中でも爵位の高い人物しかいない。つまり、貴族の中でも爵位の高い人物しかありえないってこと」

「あ~」


(消去法を使ったってわけか)


「でもさ、爵位の高い人物って結構多くない?」

「うん。だけど、私を暗殺しようとしてくる人物は限られてくるわ。なんせ、公に私を殺して、情報をもみ消せる人物なんてそうそういないから」

「検討はついているの?」

「えぇ。十中八九、アーロン公爵でしょうね」

「あ、アーロン公爵⁉」


 俺は驚きを隠しきれなかった。アーロン公爵とは、アレクが契約をしている貴族であったから。


「この世界では幼少期に教会に連れていかれて、転生者が分かるわよね」

「あぁ」

「それはね、転生者が魔族にとって危険な存在だからよ」

「え?」


(転生者が魔族にとって危険な存在?)


「転生者だと分かったら、教会に連れていかれて訓練をさせられる。そして、大抵の人は貴族と契約をさせられる」

「そうだな」


 俺の時も、アレクを含めた大半の人が貴族と契約をしていて、俺を含めた数名のみが貴族と契約をすることが出来なかった。


「あなたは、貴族と契約できなかった転生者がどうなっているか知っている?」

「し、知らない」

「魔族の供物にされているのよ」

「は?」


 アリスの言っている意味が理解できなかった。


(転生者が魔族の供物?)


「転生者は通常の人より力を持っているわ。だから、使えない転生者は魔族の供物にさせられる」

「だったら、なんで俺は?」

「あなたも最初は貴族と契約をする予定だったはず。だけど、力を認めてもらえず今になっている」

「あ、あぁ」


 アリスの言う通り、最初は転生者ということもあり、期待されていた。だけど、日が経つごとに期待されている人物から出来損ないというレッテルを張られるようになった。


「ここからは予測になってしまうけど、あなたは供物に指せるよりもいい使い道を思いついたんだと思うわ」


 アリスの言葉に理解が追い付かず、首を傾げる。


「あなたが国中からの笑いものになること」

「……」

「この世界で娯楽というものは少ないわ。そして帰属にとって、契約試験は最大級の娯楽の一つ。ここまで言ったら分かるよね?」

「つまり、俺は一生笑いものになる予定だったってこと?」


 俺の言葉にアリスは首を縦に振った。


「それで話は戻るけど、どこに第三王子が囚われているかってことだけど、もう答えは出ているわ」

「え?」

「アーロン公爵が元凶になっているけど、公で行動を起こすには危険すぎる。そして、転生者を集めている場所」

「教会ってことか……」

「えぇ」


 そう言って、アリスは俺の体を見回す。


「傷は大丈夫そうね」

「あぁ」

「じゃあ、今晩教会へ行きましょう」

「なんで今晩なんだ? もう少し準備してからでも」

「それはダメ。すでにアーロン公爵は動き始めている。つまり、時間が経つ程私たちは不利になるってこと」

「あ~」


 なら、今日が絶好の機会ってことになるのか。


「準備だけしておいてね」

「あぁ」


 そして、俺たちは今晩の準備をし始めた。



 夕焼け頃から宿を出て、アリスと共に俺は教会へ忍び込んだ。最初こそ、懐かしい雰囲気を感じていたが、教会内へ入ると、一気に重い空気に変わった。


 そして、俺たちが教会内を探索していると、地下通路に渡る道を発見した。


「こんな場所に隠し路があったなんて……」


 俺の言葉にアリスがこちらを見て来て、アイコンタクトをして先へ進んでいく。


 階段を下りて行くと、一つの扉を発見する。俺たちは扉の前にたどり着くと、そこからは悪臭が漂ってきた。


(血の匂い……)


 覚悟を決めて、扉を開けようとすると、悲鳴が聞こえた。


 俺たちはすぐに扉を開けると、アレクが人を殺め終えていた瞬間であった。

読んでいただき、誠にありがとうございました。


・続きが気になる。

・もっと早く読みたい。


などと思っていただけましたら、


・ブックマーク

・広告下の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」


上記二点で本作を応援していただけますと幸いです。


様々な人に読んでいただきたいと思っておりますので、応援よろしくお願いいたします。

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