表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

属性を排除しても問題は解決しない

作者: まめめめ

※フィクションです。作者の妄想です。

「これはこう間違っている」と粗を探し指摘するのは自由ですが、無意味です。

 いじめとして一番わかりやすい形は、のび太が、ジャイアンにいじめられる構造である。

 だからいじめ対策で真っ先に思いつき実行されたのは『ジャイアンの排除』だった。


 排除のやりかたは、いろいろある。

 ジャイアンより強い大人が目を光らせるとか。

 社会的にジャイアンの価値を貶めるとか。


 いずれにせよ、昭和〜平成の時代と比べて、ジャイアンは大幅に減少した。

 今や絶滅危惧種と言っても良い。そしてそれ故に世の中がどうなったのか、観察してみよう


 ※わかりやすくするために、超簡略化しています。実際にはもっと複雑だと思います。


【社会的圧力によるジャイアンの弱体化】

 価値観の変化に伴いジャイアン思想は魅力を失った。

 その結果、ジャイアン適正を持つ者は変化を強いられる。

 優秀ジャイアンは出木杉化(あるいはスネ夫化)し、劣悪ジャイアンはのび太化する。

 あるいは、ジャイアンであり続けた結果、社会的に排斥される。


 結果として『ジャイアンの減』という現象が発生する。


【ジャイアン減によるスネ夫の変質】

 ジャイアンが減少すると、共生関係にあったスネ夫が最初に影響を受ける。

 一部のスネ夫は出木杉に昇華し『脱スネ』を達成した。

 しかし大半のスネ夫は宿主を出木杉に代えながら本質を変化させず『残スネ』する。

 また、一部のスネ夫は環境適応できず『堕のび太』する者もいる。


 のび太にとっては『暴力型のいじめ』から『非暴力型のいじめ』に変化する。

 当然のこと、いじめ自体はほとんど減少していない。


【出木杉への影響】

 出木杉には

・元来から高い出木杉適正を持つ『真出木杉』

・スネ夫またはジャイアンから昇格した『新出木杉』

 の二種類がある。

 これらは、同じ出木杉でも大きく性質が異なっている。

 また、出木杉が増加することで出木杉内競争が激化し、やはり一部は競争に敗れのび太落ちした。


【真出木杉への影響】

 社会構造の変化に伴い、出木杉に求められる能力要件に『競争能力』が求められるようになった。

 弱い出木杉は淘汰され、のび太やスネ夫に堕落する。

 また、出木杉全体が生存戦略として『好戦的な性質』に変化する。

 出木杉内でも格差が生まれ、『上』出木杉による『中』~『新』出木杉の搾取が発生する。


 ※ただし、元来から頂点に存在していた『神出木杉』は影響を受けず、君臨し続けている。


【新出木杉の振る舞い】

 新たに出木杉になったばかりの彼らは、出木杉としての能力が足りず、出木杉内では底辺に近い。

 スネ夫的、あるいはジャイアン的な感性はそのまま引き継いでおり、その対象は自分より弱い出木杉(どうぞく)に向けられる。

 出木杉内で『のび太的』というレッテルを貼り、互いにマウントを取り合う。

 また、本物ののび太に対しては、表面上は寛容な態度を取るが、内心は見下しており、道具として活用することしか考えていない。


【のび太への影響1】

 ジャイアンが減少した結果、物理的な暴力は数を減らした。

 立場が逆転し、のび太の集団による残存ジャイアンへの社会的いじめが発生する。

 また、ジャイアンによる統制が失われた結果、のび太同士でも衝突が生まれ、いじめに発展する。


 ジャイアンからの一方的ないじめと違い、暴力性は減少したが、残忍性はむしろ増加する傾向にある。


【のび太への影響2】

 ジャイアンは暴力的だが、映画版のように善良な一面があった。

 のび太の特技(射撃やら、あやとりやら)を活かすには、それを統治し活用する者が必要だった。

 映画版のジャイアンは、彼自身が何かに特化して、何かが足りない事を自覚しているからこそ、のび太を活用する事に秀でていた。

 出木杉の平均的なステータスは、のび太の突出した能力には役不足である。


 ジャイアン統治が出木杉統治に切り替わったことで、のび太は本当の意味で『無能』になった。


【まとめ】

 いじめ対策として『ジャイアンの排斥』が行われた結果、

・ジャイアンやスネ夫が出木杉化し、出木杉内で軋轢が発生。

・ジャイアンという天敵がいなくなった結果、のび太同士の軋轢が発生。

・出木杉は出木杉内で争うようになり、優秀性を発揮する機会を失う。

・のび太は能力を活かしきれず、無能として社会から排斥される。


 なにが言いたいかというと、要するに「短絡的に行動すれば良いわけじゃない」ということ。

 これは、生物多様性の問題とも似ていると思う。

 作物を食い荒らす雀を排斥した結果どうなったかを、人類は知っているはず。


 一度こういう流れになってしまった以上、いまさら「ジャイアンの保護」を考えても意味はない。

 だとすれば、こうなってしまったということは認識した上で、どうするのかを考えることが重要かと。


 少なくとも人類の選択が『のび太の排除』に繋がらないことを祈りつつ……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ