第6話
プロローグ、根本的な凡ミスのため改稿しました。
よろしければ目を通して頂ければ幸いです。
ストーリー上は読み返さなくても問題ないです。
夢を見ていた。
昔の夢を
元の世界にいたころの夢を
小鳥はいつの間にか眠っていたことに気付いた。
おばばさまのテントのじゅうたんに横になり、上から毛布がかけられている。
「起きたかい」
「ごめんなさい。私いつの間にか寝て……」
「いいさ。泣きたいときに泣いておかないと壊れちまうよ」
おばばさまは囲炉裏にかけた鍋をかきまぜている。
「あ!今何時ですか!?どうしよう……マシューおじさんたちきっと心配してる」
毛布を撥ね退けて小鳥が起き上がると、おばばさまがヒッヒッヒと笑う。
「大丈夫さね。マシューのとこには連絡を入れてあるから心配しなくても大丈夫だよ」
この世界に電話なんてないことを小鳥は知っている。
どうやって連絡入れたのだろうと思っているとおばばさまの肩に止まる黒いカラスのような鳥に気づいた。
「この子がひとっ飛びして手紙を運んでくれたのさ」
そう言っておばばさまは鳥を撫でる。
カラスとは違いおばばさまと同じ深い緑の目をしている。
漆黒の翼は艶やか、瞳は確かにかしこさを感じさせた。
純粋のその生きものが綺麗だと小鳥は思った。
「その子、名前はなんて言うんですか?」
「この子の名前かい。イルディーカだよ」
「イルディーカ、ありがとう」
小鳥はにっこりイルディーカに微笑んで礼を言った。
するとイルディーカはふわっとおばばさまの肩から離れると小鳥の頭に乗っかった。
「わわ!」
「おやまあ、イルディーカに気に入られたようだね」
小鳥が手を前に出すとイルディーカはそちらに移る。
「よろしく。イルディーカ、私は小鳥」
「クワァ!」
よろしく、とでも言うようにイルディーカはひと声鳴いた。
「お前さんも変な子だねえ」
おばばさまはヒッヒッヒと笑う。
「今日はもう遅い。泊まって行きなさい。夜の森は危険だからね」
「はい」
小鳥はなんだか暖かな気持ちで頷いた。
次の日の朝、おばばさま特製のきのこスープと固いパンを食べているときに小鳥は気になっていたことを聞いた。
「あの……」
「なんだい?」
「結局、私は帰る方法はあるのでしょうか?」
昨日は泣き疲れて寝てしまい聞けずじまいだったのだ。
「そうさねえ」
おばばさまは少し考えるように、顎に手をやる。
「帰ることはできない、とは言い切れない。しかし、人の所業ではできぬことだよ」
「……つまり帰ろうと思って帰れるものではない、ということですか?」
「そう急く出ないよ。若い者の悪い癖さね。まず、お前さんの世界とこの世界は理からして違う。それを知らねばならん」
「ことわり……」
グレンダも言っていた言葉だ。
『世の中の理を知り、導く者』
「何事も順序というものが大切だよ。一気に知っても混乱するだけだからね。今のお前さんはそれを知る段階じゃない。今はほら、スープが冷めちまう前に食べることさね」
「はい、いただきます」
小鳥はスープをすすった。
「今日はもうそれを食べたらお帰り。マシューとマリーも心配してるだろうからね」
「はい……」
「なに、私はここにずっといる。聞きたいことがあるならまた来ればいい」
そう言っておばばさまは、またヒッヒッヒと笑った。
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