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【書籍化】運良く人生をやり直せることになったので、一度目の人生でわたしを殺した夫の命、握ります  作者: 狭山ひびき
運命共同体の夫が、やたらと甘いです

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病院視察と、これから 5

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 アルベルダにも協力させて、一日で改良版ポーションを六十個ほど作った。

 患者の数より多めに作ったのは、口止め料としてダンスタブル辺境伯と病院に、万が一の保険として数本を預けておくことにしたからだ。

 口外法度としてルーファスはダンスタブル辺境伯と病院の院長に契約書まで書かせたので、その詫びというわけではないが、彼らの心象を少し良くしておいた方がいいだろうと思ったからである。


 ルーファスがアルフレヒトは不用意に口外したりしないから大丈夫だろうと言ったので、ヴィオレーヌはアルフレヒトとジョージーナ、ルーシャ、騎士団長カルヴァンだけを伴った病院へ向かった。

 院長以外の医療従事者にも退席してもらって、重症患者に改良版ポーションを配って回る。

 このポーションで全員が無事に回復するだろうかとドキドキしたが、重傷者四十九名全員が、改良版ポーションで完治したのを見てヴィオレーヌはホッと息を吐き出した。


 それを見た院長が腰を抜かして立てなくなったり、回復した兵士たちが泣きながらヴィオレーヌに感謝を述べたり、病院が少々大混乱に陥ったりはしたが、概ねは想定の範囲内だった。


 想定外だったのは、回復した彼らがアルフレヒトのように少々面倒くさいことになってしまったことだが、それに関しても、ルーファスが「妃の護衛はこんなにはいらんし、騎士の称号を持っていないものは王族の専属護衛にはなれない」と止めてくれたため事なきを得た。

 さすがに四十九名も専属護衛をつれていたら何か企んでいるのではと勘繰られるだろうし、もっといえば、ヴィオレーヌのお財布が心配だ。ポーションで潤っているとはいえ、さすがにこんなに大勢の給料は払えない。


 病院の判断で、彼らも軽症患者同様に数日は入院して様子を見ることになったが、数日後には問題なく退院できるだろう。

 改良版ポーションのことを告げていなかったカルヴィンが、驚愕しつつも「崖から落ちて無事だった理由が少しわかりました」と言った。なかなか鋭いし、なんとなく恨めしそうな顔をしてジョージーナたちを見ていたので、彼にも改良版ポーションを一本あげた。ついでにアルフレヒトが飼い主におやつを取り上げられた大型犬のような顔をしたので彼にも渡しておく。


「家宝にします!」


 なんてアルフレヒトが言ったが、すでにダンスタブル辺境伯にも渡してあるのでできれば使ってほしい。まあ、このポーションを使うような大怪我をしないに越したことはないのだが。


「ここだけの話、おそらくだが王都の大司祭が作るハイポーションより効果があるはずだ」

「殿下!」


 余計なことを言わないでほしいとルーファスを止めようとしたが、効果は正しく教えておくべきだと逆に諭されてしまった。


「崖の下で俺も使ったし、今日の様子も見たが、失明していた男の視力まで回復していた。壊死して切断されていた指も再生したところを見るに、怪我から時間が経っていても効果がある。無駄遣いするなよ」


 ハイポーションの性能は作り手の能力に大きく左右されるためそれは仕方がないとは思うけれど、ハイポーションをかなり薄めてローポーションと混ぜて作った改良版ポーションの効果よりも下ということは、王都の大司祭はそれほど大きな聖魔術は使えない人なのかもしれない。

 これはますますヴィオレーヌが聖魔術を使えるのは秘密にしなければならないだろう。ルーファスが使わない方がいいと言ったわけである。


(うちの国の神殿長が要取扱注意にするわけだわ。この様子だと、わたしのハイポーションを出したら、下手をしたら国宝扱いじゃない?)


 モルディア国の神殿長をして蘇生以外の不可能はないと言わしめるヴィオレーヌのハイポーションは、よほどのことがない限り作らない方がいいと改めて思った。

 下手をしたら、聖魔術使いのルウェルハスト国の大司祭の領分を犯す以上の大事になるかもしれない。

 ヴィオレーヌたちがダンスタブル辺境伯城に戻ると、辺境伯が青白い顔をして城の玄関に立っていた。

 ルーファスが馬車から降りると駆けだしてきて、その場に膝を折る。


「で、殿下! 至急お耳にお入れしたいことが!」


 いつも泰然としているダンスタブル辺境伯がこれほど慌てるのだ、よほどのことが起こったに違いない。

 玄関では話せない内容だと言われ、ルーファスは辺境伯とともに彼の書斎へ向かった。


(いったい、何があったのかしら?)


 辺境伯の表情からして、何かよくないことだというのはわかった。

 ざわり、と胸の奥がざわめく。


 ジョージーナたちと部屋に戻りながら、どうかそれほど悪い知らせではありませんようにと、ヴィオレーヌは祈った。







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