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思い出カクテル

作者: 読色

 始まりは1人の女性がとある注文をしたことからだった。

 その人はマスターに泣きながら「彼氏に振られてしまった。私は彼が大好きだったんです。マスターは私が味や匂いを教えたら彼と初デートの時に飲んだ思い出のカクテルを作れたりしますか?」と尋ねたのだ。

 マスターは「かしこまりました。」と、一言だけ返したらしい。


 その瞬間から、バーにいた客は女性とマスターとの会話に聞き耳を立てていた。マスターは女性の言葉を真剣に受け止め、時折、彼女に「その気持ちは味覚に例えると甘いですか?」や「その日の天気は覚えていますか?」などを尋ねた。そして、彼女の表情や声のトーンを読み取りながら、まるで魔法をかけるかのようにカクテルを作り始めた。

「こちらがあなたの思い出の味です。」

 マスターが静かに差し出したその一杯に、その場にいた客は釘付けだった。

 女性はグラスに手を伸ばし、その一杯を口元へ持っていった。そのまま、カクテルを一口飲むと彼女は魔法にかかったのだ。

 彼女は初デートの夜にタイムスリップしたような感覚を覚えた。まるでその時の街並みや音、風景すべてが現実に戻ってきたかのように、彼女は思い出に包まれていた。


「また、素敵な思い出の話を聞かせてください。」

マスターはそう言うと、静かにグラスを拭きはじめた。

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