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耽美奇譚

無機物への嫉妬

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

歪な愛の形。早苗さんの嫉妬。それが見られれば何でもいい。

――胡蝶、なにをご覧になっているの?

「ん? なぁに早苗さん? 大した物じゃないよ。ただ僕の好みにあったものを見ていただけ」

隣に座る早苗さんの腰を抱いて、頭部を肩に乗せる。早苗さんと同じ方向を見て居るが、見えている景色は決して同じでは無い。その事に気が付いたのだろう、早苗さんの方から咎める様な言葉が聞こえてきた。

今私が見ていたのは、酷く奇妙で、奇抜で、ヘンテコな世界。悪夢の世界。大小異なる生首だけのマネキン、指の数が異常に多い絵画、腕から直接脚が映えていて、蜘蛛のように蠢く怪物。そんな物が野晒に、適当に放置されている。奇妙で、奇抜で、それでも私の心を掴み取って離さない。

あぁ、とても歪で、でもとても美しい。私が大好きな世界。近くに住んで居たら、毎日の様に愛でてしまいそうな程。

思わず蕩ける笑みを零していたら、隣から冷酷で、灼熱の視線を感じた。勿論、物言わぬ美しい生き人形、早苗さんだ。彼女は軽蔑の冷ややかさと、嫉妬に狂った視線だけを投げ付けて、黙り込んでしまった。

――最低……。生きとし生ける女だけでは飽き足らず、私以外の無機物まで手を出そうとするなんて……。私以外の無機物に愛を囁こうとするなんて……。許せない!!

目の前のティーカップが木っ端微塵に砕け散った。なんなら破片一つ残さない塵芥となり果てた。結構高価な品物ではあったけれど、大した事じゃない。こうやって、嫉妬に狂って僕で満たされてくれるのを見れただけでもお釣がくる。

手を伸ばして早苗さんの髪に触れる。優しく、宥める様に髪を梳いてやると、今度は静かに泣き始めた。早苗さんは人形故に涙一つ流せ無いが、冷たくなった頬は軽い過呼吸を引き起こしているようだ。

「泣かないで、早苗さん。最後には君の元へ帰ってくるよ。僕の最愛の(ひと)だもの。どんなに歪で美しくて、心奪われても、うん……」

あえて濁す様に舌を出すと、早苗さんはまた怒ったように此方を睨んで来た。視線から分かる。ぜーんぶ。きっと動けるならば真っ赤に泣き腫らして、地団駄を踏んでいる事だろう。

――連れて来たら、今みたいに木っ端微塵にしてやるわ。塵さえ遺してやらない。焼却炉に入れてやる!!

「それは僕の仕事。早苗さんと気持ちを共にする、僕の仕事」

可愛い、可愛い早苗さん。君が嫉妬に狂うのが見たくて、もしかした連れて来てしまうかも。そしたら早苗さんが粉々にして、僕が焼却炉に入れてあげる。そうして僕達の愛はより深くなる。

早苗さんのヤンデレシーン。

無機物だと、生身の女性よりも嫉妬します。

だって扱いが自分と同等になるから。

無機物故に特別扱いされていたのに、他の異分子が入り込んだら、自分の立場を脅かす存在になるから。


ヤンデレですけど、笑わないんですよね。早苗さん。

嫉妬に狂って物壊しましたけど、笑いながら監禁とか出来ないので、『物理的』に。

だから泣いちゃってます。不安で。

そこが早苗さんの可愛いところ。


やっぱり胡蝶にとって、早苗さんこそが一番なんだろなと。

嫉妬させる道具連れてきて、怒らせて、用済みになったらさようなら。

怒らせて、泣かせて、慰めて、今と同じ事、するんだろうなと。


そういや此奴、夢魔でしたね。人と嗜好が違って当たり前。

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