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弱虫運び屋の右腕は殺人オートマタ  作者: 久芳 流
最終章 英雄の右腕

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第71話 フェデック役員

 四輪駆動車から降りた役員5人。

 男が3人で、女性が2人だった。


 サムエルさんから見て左隣に立っているのは車を運転していた青髪の男。

 その左には白衣を纏い黒髪のおかっぱ姿で笑みを浮かべる女性。

 更に隣には筋骨隆々のガタイの大きい男がいた。

 サムエルさんの右隣にはメガネをかけタイトスカートのスーツを着た金髪の一つ結びの女性。

 そしてその隣には緑髪をきっちり七三に分けた男が直立不動でこちらを見ていた。

 

 シルヴィアさんはそんな彼らを静かに見つめていた。


「久しぶりだな。エース」


「えぇ。数ヶ月ぶりですかね?

 災害級の機械獣を討伐していただき、ありがとうございました!

 おかげでエルガスへ戻ることができましたよ」


 朗らかで余裕のありそうな笑みを浮かべる青髪の男――エース・ブライアンさん。

 フェデックにいた頃、僕も社内で見かけたことがある。

 まぁ地位が圧倒的に違っていたから話したことはないけど。

 いや、その他の4人も話したことはない。


「すごい怪我ですけど、大丈夫ですか?」


 エースさんは心配そうな表情でシルヴィアさんを見る。


「問題ない。それより――」


「そんなことよりエース! いいところに来た!

 この女は我が社の名誉を傷つけた!

 報復しなくては……!」


「いや、そんな言い方ダメですよ。サムエルぼっちゃん。

 討伐隊は大変お世話になってるお得意様なんですから」


「しかし……! 私の顔を見てみろ!」


「あちゃぁ……傷だらけじゃないですか。どうされたんです?」


 するとサムエルさんは当然シルヴィアさんを指差す。


「あいつのせいだ!」


 役員5人がシルヴィアさんの方を向くが、シルヴィアさんは冷静な目つきをして堂々と立っている。


「サムエルは機械獣に襲われたんだ」


「嘘をつくなぁ!」


 先ほど作ったシナリオをそのまま言うと、やはりサムエルさんは激昂する。


「お前が俺の顔を殴ったんだろうが……!」


「ふん。その証拠がどこにある?」


「それは……お前の剣の鞘を見れば明らかだろぉ!」


「あぁ。これか? 機械獣を倒す時に返り血が付着したんだろう」


 シルヴィアさんは鞘を掴みつつ飄々とそう嘯く。

 その態度にサムエルさんは更に顔を真っ赤にさせるが、


「まぁまぁ。2人とも落ち着いてください」


とエースさんが苦笑いしながら止める。


「ちょっと話が飛んでいてよくわからんのですが、ぼっちゃんとシルヴィアさんの間でトラブルか何かありました?」


「だからぁ!」


「すみません。ぼっちゃんは少し黙っててください」


 エースさんから一瞬、冷たい目つきを感じた。

 その雰囲気を感じ取ったのかサムエルさんもウグッと口を閉じた。

 静かになった、とわかるや否やエースさんはすかさず営業スマイルをシルヴィアさんに向ける。


「さて。シルヴィアさん。

 私どもとしては、討伐隊とは今後も仲良くしていきたいのですが、聞いてる限りどうやら私らに不信を感じられる」


「仲良くだと?

 こんな奴ら、仲良くする必要がないだろ!

 中止だ中止――!」


「ぼっちゃん」


「…………ッ!」


 もう一度サムエルさんを黙らせるエースさん。

 役員とはいえ自分のとこの社長をこうまで威圧できるとは、エースさんは何者なんだ……。


 シルヴィアさんの方に向き直ると、またエースさんはまた朗らかな笑みを浮かべる。


「良ければ、()()であるこの私に状況をお聞かせ願いますでしょうか?」


「!?」


 その言葉に役員以外の全員が目を丸くした。

 え? 今、なんて言った?

 エースさんが社長だって?

 フェデックの社長はサムエルさんじゃないの?

 サムエルさんだって……なんだ? サムエルさんの顔がとても青ざめている。


「エースが社長だと? てっきりフェデックの社長はそこにいる愚図だと思っていたが?」


 冷静な口調だが、シルヴィアさんも内心とても混乱しているようだ。

 サムエルさんのことを役員の前で罵倒してしまっている。


 だが、その質問と僕らの雰囲気でエースさんは全てを理解したようで、


「……あぁ。なるほど……。そうですか。

 すみません。エルガスには周知できていなかったようですね……」


 そう言って落ち着かせるように息を吐いた。


先代社長(おじき)が逝去して1ヶ月くらい――遺書が出てからすぐにぼっちゃんに周知するよう頼んだのですが……」


 エースさんは気まずそうに愛想笑いをすると、僕らにとって衝撃的な事実を口にした。


「サムエルぼっちゃんは社長代理なんですよ」

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