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弱虫運び屋の右腕は殺人オートマタ  作者: 久芳 流
第6章 最後の命令

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第63話 鉄喰〈てつじき〉の波

 ボロボロと崩れ落ちていく鉄くず。

 シロアリによって家屋が喰い荒らされた後のように、災害級の機械獣はどんどん脆くなっていく。

 内部の害虫は処理しきれず増殖を繰り返す。

 支柱がやられ骨格が喰われ壁が落ちる。


 支えとなるものがなくなり、重量に耐え切れず災害級の甲羅は潰れていく。

 バランスが崩れ、更には足にまでその害虫が浸食したこともあり、ついには災害級の機械獣は地に伏した。

 もう動くこともできず、内側から攻撃されているため抵抗もできない。

 為す術がない大亀は雄叫びを上げつつ蹂躙されていた。




 そんな中、甲羅の上に立っていた僕は当然、宙に投げ飛ばされた。

 破壊されボロボロとなった甲羅を下れるはずがなかった。


 でもここで何もせず死ぬわけにもいかない。

 中腹で落下した僕はライトの残滓を使い、崩壊しつつある災害級の機械獣の破片に飛び乗った。

 でもその破片もメタルイーターに浸食されている。

 間髪入れずに僕は飛び、別の破片に飛び移る。

 そうやって崩壊する足場を伝って下り、


「――ッ!!」


 最後にはケーテン砂漠の砂場に背中をついて着地した。

 砂が柔らかくてよかった。

 一部残ったライトもありがとう。


 目の前の災害級の機械獣にはもう甲羅すらない。

 もう破壊されるのも時間の問題だ。


 でも……ちょっと待って……。


「早過ぎない……?」


 メタルイーターが自己破壊するのはいつだ?

 聞いていた想定よりもだいぶ早い気がする。


 いや、考えてみたらそうか。

 本来ならMEランサーで外壁から喰い尽くす予定だった。

 けど今回は機械獣の内部から作動したんだ。

 防御力皆無。抵抗もほとんどない。

 スピードが変わるのも当然。


 ということは――?


 ガシガシガシガシガシガシ。


「ッ!!」


 右肩にメタルイーター!

 僕は思わず左手で叩く。

 ライトを喰っていたメタルイーターはその衝撃ですぐに壊れる。

 脆くてよかった。


 でもこんなところにいたら、せっかく残したライトの残滓も喰われてしまう!

 僕はすぐさま立ち上がり、災害級の機械獣を背にする。


「あ……」


 でも。

 目の前には大量の機械獣。

 じっと僕のことを見ている。

 災害級の機械獣の熱気もほとんど霧散したことで、じりじりと機械獣は僕の方へ近づいている。

 前に進めば僕が喰われ、後ろに下がればライトが喰われる。


 …………。

 ………………。

 …………………………ガシ。


「だったら!」


 僕は走り出す。

 目標は機械獣の群れだ。

 右肩についた虫を優しく掴む。こいつは有機物は喰わない。


 機械獣の群衆も吠え、僕に向かって走り始めた。

 好都合だ。


「あぁぁぁああああ!」


 僕はそのまま機械獣の群れに突っ込んだ。

 そして先頭にいる機械獣の頭に虫を貼り付ける。


 ガシガシガシガシガシ。


 目論見通り! 機械獣の頭を捕食し始めた。

 襲ってくる機械獣を避け、僕は前に進む。

 機械獣とメタルイーターをぶつける。

 自己増殖を繰り返すメタルイーターだ。

 自己破壊するまでこの機械獣の集団も喰い尽くしてくれ。


『ガルルルル!』


『グアァァアアア!』


 機械獣がそれぞれ吠えつつ僕に嚙みついてくる。


「あぁぁあああああ――――!!」


 左腕。腹。右足。左肩。

 痛みが激しい。

 ライトの残滓を使い、機械獣を叩き落とす。


 死ぬわけにはいかない。絶対死ぬもんか。

 目指すはケーテン砂漠の外だ!


 ガラガラ!!


 突然、後ろから大きな鉄の崩れる音が聞こえた。

 思わず振り向くと、災害級の機械獣はもうほとんど喰い尽くされていた。


 一体一体は小さいメタルイーター。

 だけど数が多ければ多いほど、その姿は鮮明になる。

 喰い足りない彼らは機械獣の群れに向かっていく。

 その姿はさながら『波』だ。


「やばい……!」


 それを見た瞬間、僕は走り出す。

 機械獣に構っている暇はもうない。

 ライトが喰われる前に脱出しなくては。


「……あ……ッ!!」


 だが、僕の身体は吹き飛ばされる。

 機械獣に突進されたのだ。

 そのまま地面に倒れる。


 再び起き上がろうとするが、ダメだった。

 血を出し過ぎて、熱さで体力を奪われていて。

 僕の身体はもう言うことを聞かなかった。


 ここまでか。

 メタルイーターはもう近い。

 僕じゃどうすることもできない機械獣がこんなにもいる。


 僕はゆっくりと身体を動かし背中を丸める。


「グッ……」


 背中を機械獣に踏まれる。めちゃくちゃ重い……!

 けれど耐える。

 僕は右肩を外套で隠し左手で抑えつけた。


 せめて。ライトだけでも……!!


 その瞬間。

 鉄喰(てつじき)の波は僕までをも覆い尽くした。

ここまでで第6章となります。次回が最終章です。

お読みいただきありがとうございました。

今後の励みとなりますので、少しでも「面白そう」「続きが気になる」と感じましたら、是非ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価いただけましたら幸いです。

よろしくお願いいたします。

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