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弱虫運び屋の右腕は殺人オートマタ  作者: 久芳 流
第6章 最後の命令

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第57話 絵空事の作戦

 熱気を肌で感じる中、僕の心は寒くなる。

 入り口までは完璧だった。

 あとはこの中に入れれば、僕たちの勝ちだった。


 イレギュラーがあることはわかってはいたけど、まさか内部に侵入する前に、入らせてもくれないなんて。

 ここまでの頑張りは、これまでの犠牲はなんだったのか。


 作戦は失敗。抵抗虚しくエルガスは滅ぶ。


「……そんなの……あんまりじゃないか」


『…………』


「別の侵入経路はないの?」


『可能な経路は現状ありません』


「……じゃあどうすれば……!?」


『生存戦略機構に基づくと退却及び逃亡を推奨します』


「それはダメだ。シルヴィアさんや……キャリ姉、それにニコちゃん達はどうするんだ」


『我々の生存の方が優先です』


 ライトの話にため息を吐く。

 やっぱりこいつとは相容れない。

 僕の命令や提案は受け入れてくれるけど、根本的な部分で価値観が違う。


 ライトと分かり合えるのはもう諦めた方がいいかもしれない。

 だったらどうやってライトを説得するか。


『……ですが逃亡も不可能になりました』


「え?」


 そうやって考えていると、淡々とした口調でライトがそう言った。


『災害級の機械獣の冷却が始まりました』


 思わず上を見る。

 砂嵐で薄らとしか見えないが鴎型の機械獣の羽が見えた。

 水を散布しているのも辛うじてわかった。


 災害級の機械獣が動き出すのも時間の問題。

 しかも一番近くにいる人間は僕。

 ケーテン砂漠を脱出している間にロックオンされ砲撃されるだろう。


 逆に災害級の近くにいないと殺られる。

 いや、ダメだ。

 近くにいればきっと奴が出す放電に殺られる。


 逃げるのもダメ。近づくのもダメ。

 程よい距離というのはなく、ケーテン砂漠全てがデッドゾーンだ。


「じゃあどうすればいい……?」


 生存戦略機構。自身とマスターを生存させるための行動を決めるプログラム。

 最も救かる道は、もちろん。


『内部に進む他ありません』


 それしかない。ようやく利害が一致した。

 だけど侵入経路はないとライトは言っていた。

 ライトのスキャンと演算は完璧だ。

 ないというのであればそうなんだろう。


 もうダメ元でメタルイーターをここで解放するか?

 いや、ダメだ。そんな無駄に終わるかもしれないことはできない。

 やるなら本当に最期の最後だ。


 じゃあどうすれば……?


『ひとつだけ方法があります』


 そうやって頭を悩ませていると、ライトがそう進言する。


「さっきないって言ってなかったっけ?」


『状況が変わりました。()()であれば実行可能なプランがあります』


「現状……? ってもしかして……!?」


 ライトの言おうとしていることがなんとなくわかった。

 でもその作戦はあまりにも非現実的。

 届くはずがない絵空事だ。


『はい。マスターの推測通りです。

 成功確率は1%未満。不確定要素が多く死ぬ可能性があります』


 いつもの調子で淡々と説明するライト。

 やっぱりな、とは思うが機械(オートマタ)が出したとは到底考えられない案に僕は閉口する。

 いったいどうやる、というのか。

 あ、いや、もしかして……?


()()()()()()()()()


 僕がその答えに行き着いたのを見越したかのように、ライトはほぼ同時にそう言う。

 僕は眉間に皺を寄せ、難しい顔をしてライトに聞く。


「……もしかして()()を外す気か?」


『はい。保護機構(プロテクター)を解除します』


 それは生存戦略機構をもつオートマタとしては到底有り得ない策とは言えない案だった。

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