第50話 アシッドスライムフィルムケース
野営地を守るため倒した熊型の機械獣から現れた殺害級の機械獣。
全身が酸性の粘液で包まれ、弱点であるコアは内部にあった。
ライトで仕留めようとしたが、酸性の粘液は切ることが出来ず逆に溶かされる事態に陥ってしまった。
だけど、討伐しないと野営地が危ない。
僕は運び屋であることを忘れてひとりで倒そうとしたけど、思い上がりだと反省した。
結局討伐はその道のプロであるシルヴィアさん達にお願いした。
「悪いがこの忙しい時にこいつにだけ時間を割くことはできない」
助けてもらった矢先、シルヴィアさんはそう言って銃を抜いた。
機械獣討伐のプロはあのスライムをどう倒すつもりなのか。
――と考える間も無く一瞬だった。
「ピーター、あいつに向かってライフルを撃ち続けろ」
そう言ってシルヴィアさんは走り出す。
「了解!」
ダンッ!
ピーターさんが銃を放つ。
高火力の弾が粘液型の機械獣に向かって一直線に飛ぶ。
粘性が高く強い酸のあの粘液に弾がぶつかるも、大きく歪み衝撃を吸収され弾が溶ける。
だが、ピーターさんは怯むことなくまた撃った。
弾は先ほどと同じ軌道を描く。
「こう見えても射撃には自信があるんだ」
粘液が元の形状に戻る間もなくまったく同じ位置に弾が当たる。
歪みは更に大きくなる。もっと言えば1発目の弾が溶けきってないからか、2発目は粘液にほとんど触れていない。
更に3発目を……間髪入れず4発目……。
次第に歪みは大きくなり、1発目の弾が溶けきったとしても2発目、3発目の弾が威力を消さない。
「キィィィイイイ!!」
吸収しきれないほどの運動量をその身に受け悲鳴のような音を出す機械獣。
やがて歪みは中央まで差し掛かる――寸前で!
「! 跳ねた!?」
粘液型の機械獣は弾の威力に耐えきれず、そのボディーの性質も相まって弾とは逆方向に飛んでしまった。
あれでは、倒すことはできないじゃないか。
「大丈夫!」
「!」
ピーターさんは不敵な笑みを浮かべてそう言った。
「うちの支部長を嘗めるなよ?」
――カチャ……。
粘液型の機械獣が飛んだ先。
そこにはいつの間にか白銀の髪が美しく揺らぐ鋭い眼をした女性が銃を構えていた。
キャリ姉が製造したふたつの特注品の内、命中特化の方だ。
ドドンッ!
進行方向からの二連の銃撃。
更にピーターさんも追撃する。
両方向――更に言うと寸分違わぬ一直線上――に挟まれた機械獣は力の逃げ場もなく両方向に歪みきった。
そして限界まで差し掛かり弾が中央まで差し掛かったところで、風船が割れたように機械獣は破裂した!
酸性の雨が降り頻る大地を僕は唖然とした顔で見ていた。
「どうだい? レオくん」
そんな僕に横にいたピーターさんが笑いかけた。
「プロはすごいだろ?」
本当に僕の力は必要なかった。




