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弱虫運び屋の右腕は殺人オートマタ  作者: 久芳 流
第5章 運び屋としての役割

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第45話 絶望の野営地 前編

「ライト!」


『承知しました』


 僕の身体にライトが纏わりつく。

 初めてエルガスから野営地に行く時と同じスピードモードだ。

 今回は荷物の心配もいらないから、より速い。


「お、おい! 待ってくれよ!」


 ピーターさんの制止も聞かず、僕は一直線に野営地へと向かった。

 オートマタは討伐隊がなんとか抑えているが、主力がいないんじゃ突破されるのも時間の問題。

 残り9体。

 全てを破壊しないと。


「どれくらいで着く?」


『およそ3分ほどです』


 なんとか持ちこたえてくれ。

 そう願いつつ、僕らは快足を飛ばした。


 だが。


『脅威レベルが更新されました』


「――ッ!?」


 なんだって。

 機械的な報告に周りを見渡しても、機械獣はいない。


『オートマタの一体が野営地を突破。

 荷物搬入後、ケーテン砂漠に侵入。超長距離の対機械獣ミサイルを使用しました』


 もう突破されたのか。

 そのミサイルはケーテン砂漠に侵入し、災害級の機械獣まで真っ直ぐ飛んでいく。


『災害級の機械獣がオートマタに対して砲撃準備を開始』


「!? まだ災害級の機械獣に当たっていないだろ? なのになんで……!?」


『砂嵐がセンサーの役目をしています。災害級の機械獣がフェデック製オートマタを脅威と認定した模様です』


 そうだった。

 ケーテン砂漠の砂嵐は災害級の機械獣が意図的に発生させたもの。

 確かライトはあれを『結界のようなもの』だと言っていた。

 オートマタが撃ったミサイルは災害級の機械獣のなり得るということか?


『緊急停止します』


「待って! それじゃあ野営地の人達が――!」


『私達には不可能です』


 ライトはそう言うと足を踏ん張りブレーキをかける。

 その瞬間――。


 ケーテン砂漠から一筋の光が静かに見え、遅れて空気を揺り動かすほどの大きな爆発音が聞こえた。

 それを認識した途端、僕らのすぐ目の前まで突風が。


 砂も舞ったので思わず腕で顔を抑え目を細める。

 何が起こったのか。

 わけもわからず、前方を見ると、


「……なんだこれ……?」


 荒野で燃えるものなど何もないのに、燃えていた。

 そこにある物を根こそぎ消し去るような衝撃と破壊の炎。

 それがケーテン砂漠付近で巻き上がっていた。


「や、野営地は――!?」


 野営地があったはずの場所は当然。


「……そんな……」


 爆発の衝撃でテントは吹き飛び炊き出し場も作戦本部も崩れていた。

 野営地としての機能はもはや無くなっていた。


 不幸中の幸いで爆心地ではなかったが、9体のオートマタは軒並み破壊され討伐隊も倒れている。

 悔しさと怒りと悲しさが入り混じった感情が身体中をめぐる。


「……野営地に向かおう」


『承知しました』


 僕にできることがあるかはさておき、こんな状態を放っておくことはできない。

 機械獣による追撃もあるかもしれないし、まだ生きている人もいるかもしれない。


 僕らは思いっきり地面を踏み、野営地まで加速した。

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