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弱虫運び屋の右腕は殺人オートマタ  作者: 久芳 流
第5章 運び屋としての役割

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第42話 殺人オートマタの演算結果 後編

 オートマタの一体を倒した。

 その間に残りのオートマタはもう走り去ってしまった。

 倒れた仲間を気にせず、任務だけしか見えていないみたいだ。

 情がない奴らだ――オートマタだけど。


 まぁでも追いかけてまで仕留めることはしない。

 時間がないし、今の目的は違うから。


 そう考えつつ、倒したオートマタを見た。

 首は無くなり、肩や背中に対物ライフルやミサイルランチャーを携えた身体だけ。

 人間のように血は噴き出てはいないが、その代わり漏電している。

 腕もライトに破壊されたせいかボロボロ。

 そんなボロボロの腕じゃあもう何も持つことはできまい。


「――あ、荷物……!」


 それで思い出した。だけどライトはもうわかっていた。

 僕が叫んだ瞬間にはライトは右腕を伸ばしてオートマタが投げた荷物も回収していた。


 ホッと胸を撫で下ろす。

 破損することなくてよかった……。

 ところどころ梱包された箱がべこべこになっている気がするけど。

 さっきの戦闘のせいではないよね?


 ライトは荷物を静かに地面に置くと、ぴょこと手の甲から頭を出し両目から緑っぽい光を出した。

 壊れたオートマタの首から足にかけてその光を当てると、


『スキャン完了』


「どうだった?」


『使用可能です』


「!」


 よかった。使えるみたいだ!


『多少動作が重くなります。作戦を続行しますか?』


「お願いするよ!」


 僕が許可をするとすぐにライトはオートマタに近づいて、大きく手を拡げた。

 物理的に巨大になった手は装備した兵器――対物ライフルや対機械獣六連装ミサイルランチャーを取り込んだ。


 べこべこと手が粘土のように動く。

 バキッ、て音がしたかと思うとオートマタから装備が外された。


『使用方法分析。機能(ソフト)をインストール。形状(ハード)を破壊・再構築』


 ライトは手の中で兵器を粘土のように捏ねる。

 殺人オートマタによる兵器回収プロセスが着実に進む。

 これが僕が思い浮かんだ作戦。


 フェデック製のオートマタは様々な武器を装備していた。

 それは災害級の機械獣と戦うため。

 つまり対機械獣用の強力な兵器を持っているに違いない。


 ライトは殺人オートマタ。だけど万能だ。

 もし彼女に対機械獣用の武器を使わせることができれば、


『取り込み完了。作戦第二フェーズ実行可能です』


 あの殺戮級の機械獣を倒すこともできるはず!


「よし! それじゃあ行こう!」


『了解』


 その瞬間、僕らは宙を跳んだ。

 殺戮級の機械獣よりも高く、速く。

 僕らがいた地点はその衝撃で砂煙が舞い、地面が割れていた。


 やがて最高点に達し、一瞬、身体が止まる。

 景色がよく見える。

 泣きべそをかいて逃げるピーターさんも、それを追いかける機械獣も、はっきりと僕の目に映った。


 僕はゆっくりと右腕を突き出し、左手で支える。

 支えるとわかる。右腕がかなり重い。肩があったら絶対に外れていた。


「ライト、アームドチェンジ! モード:パンツァー!」


『コールサクセス』


 右腕は変形し、一瞬にしてさっき取り込んだ対物ライフルの形状に。

 黒く大きく伸びた太い銃身。伸びた先の銃口はより太く広がり厚みを帯びている。

 グリップもトリガーもないが、その代わり二の腕辺りがより太くなりここに大口径弾が込められているのだろう。

 更に右肩辺りから後ろに伸び、2つの六連装ミサイルランチャーが僕の頭の上に出来た。


『殺戮級の機械獣の殲滅を開始します』


「頼んだ!」


 最高地点から地上にいる殺戮級へ向かってライフルが火を吹く。

 重厚な響きと共に身体に伝わるほどの衝撃を感じつつ、ライフル弾が発射した。


 弾丸は空気の壁を破り音速で機械獣の元へ。


『グォォオオアアア!!』


 機械獣から悲鳴が上がった。

 ライフルは機械獣の装甲を破壊し、急な衝撃に機械獣はバランスを崩し倒れる。


「畳みかけて!」


 そう言ったか言わないかの瞬間には、頭上から計12発のミサイルが発射される。

 そのミサイルは既にライトが誘導していたのか、12発が別々の部位の方向へ飛び、次々に音を立てて爆発する。

 更には対物ライフルを何発か撃ち放ち、機械獣の装甲を削り取り、やがて機械獣の動きが止まった。


 だが、そのまま何もしない機械獣ではない。

 僕を脅威として認識したらしい。

 シルヴィアさんが戦闘した時と同じように、機械獣は背中側にあるスパイク状のタイヤを分割すると、回転刃として飛ばした。


「確かにワンパターン!」


『脅威を排除します』


 ライトは回転刃にミサイルの標準を合わせると、高速発射。

 回転する刃を次々に粉砕していく。


 全ての回転刃を排除すると同時に僕とライトは地面に着地した。

 着地した瞬間、機械獣の元へ一直線に地面を蹴る。


 倒れている機械獣に対して、走りながらライフルを構えると、目に足に頭に口に鼻に――次々と撃ち放つ。

 ボロボロの顔、ボロボロの腕。

 正面は破壊しつくされ、ところどころ漏電している。


 だが、そこでやめたらだめだ。

 完膚なきまでに機能停止させてやる。


 その思いに呼応して、ライトは右腕を再びライフルから巨大な斧に変形。

 そして、機械獣の懐に素早く潜り込み、


「殺ってくれ!」


 ジャンプすると同時に右腕を上に振り機械獣の大きな首を斬り落とした。

 宙を跳ぶ僕達。

 その下で首がなくなった機械獣の力が抜けるように倒れていくのが見えた。


『対象の殲滅を確認。作戦成功』


 やっぱりライトの演算は優秀だ。

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