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 領主様からのお願いですので、という前置きの元、クラリスは婚約者について話し出す。ベイティから頼られたことがそれほど嬉しかったのか、鼻の穴はずっと膨らんだままだった。


「いいですか、レイ様。今回あなたが婚約するのは、公爵家の御令嬢です」


「なぜ公爵家の人間が、こんな辺境伯の出来底ないと婚約なんかするんだ? 公爵家の御令嬢ならもっといい相手がいるだろう。確か、王太子殿下も私と同じ歳だったはずだ」


「ふふふ。御令嬢は巷で『コブ姫』と呼ばれるほど、それはそれは醜いお顔で、何回も縁談は破局しているそうです。余りもの同士、ピッタリのお相手ですね」


 クラリスは嘲笑まじりに言うも、それを気にせず「ふむ」とレイは顎に手を添えて考えるそぶりを見せる。クラリスは、やはりこれまでと様子が違うレイに違和感を感じ、目を細めた。


「レイ様? あなた本当にレイ様ですか? 何かいつもと違う気が」


「何を言っている。私は私だ、性悪メイド」


「なっ⁉︎」


 クラリスは口をあんぐりと開けた。


「誰が性悪メイドですか! 一体誰があなたのお世話してると思ってるんですか!」


「それが其方の仕事だろう、馬鹿者。それよりも世話をしてるという自覚があるのなら、掃除くらいまともにしてほしいものだな」


 ほらこことか、と人差し指で部屋の隅に溜まっている埃を確認しながら言う。クラリスは思わず顔を赤くして口をつむいだ。自分が仕事をサボっていることは自分が一番よく知っているので、反論ができない。


「それで? その御令嬢は醜い容姿のせいで相手が見つからないから、繰り下がって私に縁談の話がきたというわけか」


 クラリスは顔を背けてふんと鼻を鳴らす。


「えぇ。繰り下がって繰り下がっての、レイ様です。おめでとうございます」


「其方は本当に性格が悪いな」


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