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第39話 三学期の終業式

 とうとう終業式の朝を迎えた。海斗は登校すると考え深く下駄箱を見つめた。いろいろな記憶が思い出されたのだ。すると松本蓮が肩を叩いた。

「お早う海斗! また何か問題でもあったのか?」

「いや、何もないよ。でもこの下駄箱には思い出が深くてね。ちょっと思い出して、足が止まっちゃったんだ」

「うん、確かに思い出深いね。九月の時は俺も悩まされたよ」

 鎌倉美月は二人に声をかけた。

「ほらほら、もたもたしない! 上履きに履き替えて教室に行くわよ」

 三人は教室に向かった。


 (二年B組にて)

 海斗達に限らずクラスメイトはいつもより、早く登校していた。海斗は皆と挨拶を交わすと、元気の無い声で返事が返ってきた。

 小野梨紗は悲しい顔をして振り向いた。

「海斗お早う、今日で最後だね」

「梨紗、別に卒業する訳じゃ無いんだ、そんなに落ち込まないの。梨紗は笑った顔の方が可愛いよ」

 小野梨紗は下を向いた。海斗は隣の中山美咲に振り向いた。

「美咲もお早う、もー、そんな顔しないでよ。元気出して!」

「海斗は偉いわね、でもねー、そう言う気分に慣れないわ」

 林莉子は中山美咲に声をかけた。

「ほら、元気出しなさい。……でも本当は私も悲しいのよ。こんなに打ち解けた友達と別れるなんて、いたたまれないわね」

 遠藤駿は席を立った。海斗達の会話を聞いていたのだ。

「なあ皆、海斗の言う通り卒業じゃ無いんだから、俺達らしく笑顔で……笑顔で三学期を終わりにしようよ!」

 佐藤美優は遠藤颯太を冷めた目で見つめた。

「あーあ、ムードメーカーもこう言う時はねー、熱苦しいのよね、ねえ七海」

「そうねー、そっとして欲しい時も有るのにねー、ねえ萌」

「駿はノーテンキなんだよ、もう!」

 遠藤駿は三連続で攻撃を受けて撃沈した。撃沈した駿を見て、京野颯太もかける言葉が見つからなかった。


 チャイムが鳴り長谷川先生がやっていきた。全員の顔を見回した。

「はい、皆おはよう! 今日もみんな揃って居るね。無事に二学年を終了しましたね。おめでとう御座います。色々有った一年でした、先生も沢山の思い出を皆から貰いました。また、このクラスは学園の有名人が多かった事も特徴で、このクラスを盛り上げてくれました。これから終業式に向かいます。おい伏見! また校長先生からイジられる事はしていないか?!」

 生徒達は笑うと、海斗に注目をした。海斗は大きな声で答えた。

「何もしていませんよ!」

「うん、そうか。これもこのクラスの特徴でした。お陰でウチの生徒が注目を浴びる度に、私は職員室の人気者になったよ。さあ、体育館に向かいます。廊下に並んで下さい」

 生徒は廊下に並び体育館に向かった。


 (体育館にて)

 生徒達がぞくぞくと体育館に入場した。生徒達が揃うと生徒会が仕切り、朝礼が始まった。吹奏楽部が校歌を奏で、生徒達は校歌を斉唱をした。来賓の挨拶から黒岩校長先生の言葉になった。


「本日はご多忙の中、御足労頂いた来賓の皆様、誠に有り難う御座います。我が学園では三学期も生徒が優秀な成績を納め、沢山の賞を持ち帰りました。文化系も体育系も活躍出来た生徒、それを支え見守り応援をする友人や先生。本当に有り難う御座いました。

 生徒諸君、三学期はあっと言う間でしたね。毎年、三年生を送り出す時期になると思うことが有ります。この環境を離れても、ちゃんとやって行けるのか心配になる子もいれば、逆に期待を持って送り出せる生徒も多くいます。その違いは何だと思いますか? その答えは目標を持っているか否かです。将来、就きたい職業だけでは無く、スポーツや芸術、趣味であっても将来の目標を持っている生徒は期待して送り出せます。是非、早い時期に目標を探して下さい。そして目標に向き合い、学業をする事で、意味の有る学園生活を送って下さい。

 来月になると二年生は最高学年になる事で、一、二年生徒の模範にならなくてはいけません。一年生も二年生になる事で新入生の見本にならなくてはいけません。春休みは宿題の無い大型連休ですが、自分の目標を探す大事な時間にして下さい」

 校長先生は挨拶を終えると、斉藤教頭先生が春休みの中の注意事項を連絡し終業式は終わった。


 生徒は教室に戻ると、長谷川先生は生徒一人一人を見回した。

「はい、皆さん校長先生の話は良く分かりましたか? 先生もまったく同感です。春休みは自分と向き合い目標を探して下さい。目標が決まった人は更に掘り下げて、どうすれば目標に目指す事が出来るのか考えて下さい。それでは、お待たせしました通知表を配ります。呼ばれた者は取りに来て下さい」

 長谷川先生は一人一人に助言を伝え通知表を渡した。今回も生徒達は喜怒哀楽、様々な表情になり通知表を受け取った。

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