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第3話 ナポリタン

 京野颯太は驚いた。

「あのマスターがNグランドの出身とはね-、どおりで料理が旨い訳かー」

 鎌倉美月は京野颯太に釘を打った。

「ねえ京野君、会社のオードブルに使おうとか考えていない?」

「ああ、良く気が付いたね」

「ダメよ、ちゃんと幸乃さんの許可を取ってからよ! 好きに働けるのも個人事業者の楽しみよ。大きな組織が大量の発注を掛けたら喫茶店は閉店しなしと対応出来なくなるからね。マスターのペースを崩さないようにね!」

 松本蓮も心配をして念を押した。

「そうそう、幸乃さんの許可を取らないとダメだよ。怒られちゃうよ」

 京野颯太は笑った。

「ハハ、それは怖いな。よかれと思っても難しいんだね」

 森幸乃からSNSの返信が入った。海斗は読み上げた。

「幸乃さんから返事が来たよ。お父さんがOKしたよ。お待ちしておりますだって。あっ、最後にハートマークが付いているよ、歓迎って事かな?!」

 京野颯太は舞い上がった。

「幸乃さん、僕にハートマークを送ってくれるなんて嬉しいな!」

 佐藤美優は浮かれた京野颯太に、ため息を付いた。

「はあー颯太、それ海斗に送った連絡じゃないの?」

 橋本七海が笑い出すと皆も笑いだし、京野颯太は恥ずかしくなった。

 海斗は皆を引き連れた。

「さあ、行こうか!」


 (喫茶「純」にて)

 喫茶「純」に到着し海斗はドアを開けた。

「マスター、おめでとう御座います!」

「おやおや、いらっしゃい団体様」

 皆は声を揃えた。

「開けましておめでとう御座います」

 森幸乃は駆け寄った。

「皆、いらっしゃい、今年も宜しくね!」

 店内にはトマトソースの良い香りが広がっていた。


 中山美咲は微笑んだ。

「うわー、良い香り。楽しみだわ」

 遠藤駿は微笑んだ。

「この香りでご飯三杯は行けるね!」

 皆は笑い、森幸乃は皆を席へ案内した。京野颯太は森幸乃を見つめた。

「幸乃さん、開けましておめでとう御座います」

「京野君、おめでとう。今年も宜しくね」

 

 皆が席に着くと森幸乃は海斗に話しかけた。

「ねえ海斗君、今日のナポリタンはどうゆう事なの?」

「今日は午前授業でしょ。皆と久しぶりに会って、昼食を食べる話になったんだ。それでココのナポリタンは美味しと言ったら、話を聞いていた皆が食べたくなったんだ」

「わざわざ悪いわね。気に掛けてくれて嬉しいわ」

 森幸乃とマスターは出来たてのナポリタンを運んだ。皆はツバを呑み美味しそうに眺めた。


 京野颯太は口を付けて驚いた。

「えー、知らなかったなあ、ホントにNグランドの味がココで食べられるなんて!」

 マスターは微笑んだ。

「流石、京野君だ。良く知っているね」

「マスター、もっとメニューの全面に出せば良いのに!」

 マスターは笑ってカウンターに戻って行った。

「お父さんはね、フライパンを振るよりコーヒーを入れる事が好きなのよ」

 佐藤美優は京野颯太を睨んだ。

「さっき、鎌倉さんに言われていたでしょ。すぐ商売に繋げるのは良く無いよ。嫌われたら颯太だけ、出入り禁止だからね!」

皆は笑い京野颯太はタジタジなった。


 小野梨紗は横浜発祥のナポリタンを味わった。

「ねえ美咲、本格的なナポリタンって始めて食べたわ。ホント美味しいね」

「実は私もなの。作る人でナポリタンは、こんなに美味しくなるのね」

 佐藤美優は橋本七海に話しかけた。

「ねえ、まさか、ココで本格的なナポリタンが頂けるなんて思わなかったわね」

「ホント、こんなに美味しいのに颯太は出禁なんてね。ププ可愛そう」

「幸乃さん、僕は出禁にならないですよね」

「分からないわよー、お父さんに怒られないようにしてね。ウフ」


 食事を終えるとマスターがコーヒーをサービスしてくれた。皆はお礼を言ってお茶の時間となった。配膳を終えると森幸乃もテーブルに着いた。

「ねえ海斗君、今日も校長先生にいじられていたわね。可笑しいわね!」

 皆はクスクスと笑い出した。京野颯太は言った。

「幸乃さん、みんな格好悪いんですよ。駿なんて床にねっ転がってズッコケたんですよ!」

 森幸乃は残念な顔をした。

「もー、京野君は笑いを解かって無いなー。校長先生が振ったのよ、あれでボケなくてどうするのよ! ププッ! 見てて楽しかったわ」

 佐藤美優は見逃さなかった。

「私ね、あの時、舞台も見ていたのよ。ププッ! やっぱり昭和ねー、教頭先生も膝を折ってズッコケていたわ!」

 海斗は残念がった。

「あー、それ見たかったなー! あの真面目な教頭先生がねー!」

 橋本七海は続けた。

「校長先生は伏見君の事が好きなのかしら、可笑しかったわね。ところでカルタ大会で優勝をした小川美優さんって、生徒会らしいけど伏見君は知っているの?」

「知ってるも何も、沢山相談に乗って貰っているよ。とっても優しいからね。まさか百人一首で優勝する腕前だとは思わなかったな」

 すると海斗を慕う女の子は前のめりになった。小野梨沙は複雑な顔をした。

「海斗には、未だ私達の知らない女の子がいるのね!」

 中山美咲は海斗に優しく睨んだ。。

「クリスマスで色々聞いたけど、海斗は交友関係が広いもんね!」


 松本蓮も鎌倉美月も怪しい空気を悟った。海斗は空気を読んだ。

「ち、違うよ! 皆も恩恵を受けているんだよ。ミスコンの企画も、模擬店の許可も、京野の誤報を解決した時だって、そうだよ。皆で万歳したじゃん。あの人が生徒会書記の小川由香さんなんだよ!」

 皆は声を揃えた。

「あー、あの人なんだー」

 知人と解り納得をした。森幸乃は更に追求をした。

「それで小川さんとは、どんな遊びをしているの?」

 再び海斗を慕う女の子は注目をした。

「もー! 違うってば、勘違いしないでよ。小川さんは生徒会長の池田さんが好きなんだ。だから変な推測はしないでね」

 女子は知り合いの恋バナを聞いて興味津々になった。その事実を聞いて前のめりになった。

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