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第10話 いざ鎌倉

 この日の夜、海斗は十時にSNSのグループに連絡を入れた。

海斗:連絡です。陽菜ちゃんの連れ出しに成功したよ。

梨沙:ヤーッター、土曜日は鎌倉ね!

美咲:さっき、陽菜が私の部屋に来たわ。私が心配だから付いて行くんだって!

美月:うまくいったのね。お疲れ様

蓮 :久しぶりの鎌倉だ、八幡宮にも行こうね

梨沙:湘南の浜辺で海も見たいわ

莉子:あんた達、観光じゃ無いのよ!

莉子:海斗の作戦が効いたのね

海斗:合格祈願で有名な神社だもん。本人だって行きたいと思うよ

蓮 :折角だから金運アップのパワースポットに行かないか?

梨紗:行く! 行く! パワースポット

莉子:どこ、鎌倉に有るの?

海斗:それじゃあ、卵を持って行かないとね

美月:ええ、持って行きましょう

美咲:どこへ行くの?

海斗:続きは学校で

梨紗:いじわる!

莉子:眠れなくなるじゃない! 早く言いなさい

海斗:では!


 皆は翌日の学校で話し合い、行き先とコースを決めた。海斗達は荏柄天神社、鶴岡八幡宮、小町通りで昼食。そして銭洗弁財天で蓮達と合流して、由比ヶ浜に行く予定を立てた。蓮達は少し遅れて出発し鶴岡八幡宮、小町通りで昼食、銭洗弁財天で合流する予定となった。


 (陽菜の合格祈願当日)

 いよいよ、鎌倉に行く土曜日となった。海斗は九時に横浜駅の横須賀線下りホームの先頭で待ち合わせをした。海斗と葵は十分前に到着をすると、既に中山美咲と陽菜がホームで待っていた。

 海斗は二人を見付けて大きく手を振った。

「おーい、美咲、春菜ちゃん。二人とも早いね!」

「海斗、陽菜の合格祈願に付き合ってもらって有り難う」

「ふ、伏見さん、今日は宜しくお、お願いします」

 海斗は、まじめな態度を取る陽菜を見て微笑んだ。

「春菜ちゃん、良い返事だね。中二キャラよりコッチの方が可愛いよ」

 陽菜は赤くなって照れた。

「だ、まれ伏見! ……伏見さん」

 葵は美咲に軽く頭を下げ、陽菜に話かけた。

「春菜ちゃん、久しぶりだね。今日行く所は合格祈願の有名な神社だって。一緒にお祈りするからね。勉強のし過ぎは返って効率が落ちるから、リフレッシュするのも良い事だよ。楽しく過ごすね」

「有り難う、葵ちゃん。今日は宜しくね」

 四人は挨拶を交わすと、横須賀線に乗車して鎌倉に向かった。


 この日も冷たくカラッとした空気の冬晴れだった。鎌倉駅は多くの観光客がいた。海斗は東口のバスロータリーを通り抜け、若宮大路の参道を八幡宮に向けて引き連れた。海斗の隣には中山美咲が並び、後ろに葵と陽菜が並んで歩いた。葵と陽菜はお上りさん状態だった。  

 海斗は振り向き、二人に説明をした。

「この参道はね、後ろの入口からどんどん道幅が狭くなるんだよ。知ってた?」


 葵は下調べをしていたのだ。

「お兄ちゃん、昔の人が測量を間違えたとか、言わせたいんでしょー。知っているよ!」

「春菜ちゃんは、解るかな?」

「ん~、わかんない!」

「ここは遠近法を利用して、より遠くに有るように見せかけたんだって。敵が責めて来た時に遠くに在るように見せかけたり、参道を美しく見せたりする効果があるんだ。春には両脇の桜が咲いて、とても綺麗な参道になるんだよ」

 二人は感心して聞いていた。皆は鶴岡八幡宮の入り口・三の鳥居まで進むと右折した。ここから十分ほど歩いた所に、お目当ての神社があった。


 四人は荏柄天神社に到着をした。既に多くの学生が参拝の列を作っていた。

 皆は最後尾に並び、海斗は陽菜に話しかけた。

「ねえ春菜ちゃん、鎌倉幕府を作った人は?」

「源頼朝でしょ。そんなのは誰でも知っているよ」

「当たり! 何年に出来たの?」

「イイハコ作ろう鎌倉幕府でしょ。一一八五年だよ」

「正解! 荏柄天神社はね、源頼朝が鎌倉幕府を守るために幕府から見て鬼門の方角に建てられたんだ。学問の神様・菅原道真が祀られていているんだよ。名前の天は天満宮の天なんだ」

 中山美咲も感心をした。

「へー! 知らなかった。だからこんなに学生が並んでいるのね」

「この近くには源頼朝の墓も有るんだ。そう思ってお参りすると歴史の勉強にもなるでしょ。春菜ちゃん」

「うん、鎌倉時代が少し身近に感じるかもね」

 中山美咲は海斗に話しかけた。

「横浜の酉の市の時みたいね。海斗は横浜の歴史も教えてくれたけど、鎌倉も知っているのね」

「え、俺はさわりしか知らないけどね。でも褒めてくれて有り難う」

 海斗はお参りを終えると、陽菜へ合格祈願のお守りをプレゼントした。陽菜はお参りのお陰か、精神的に少し楽になって表情が明るくなった。


 次に海斗達は近くにある源頼朝の墓に向かった。歩き始めると間もなく足を止めた。垣根の隙間から学校のグランドが見えた。

「陽菜ちゃん、ココには昔、何が有ったと思う?」

「また? そんなの分からないよ!」

「ここに鎌倉幕府が有ったんだよ。今は小学校だけどね」

「えー! ココに有ったの?! しかも今は小学校なんだー。よく知っているね」


 小学校が終わる十字路で右に折れると、小高い山に登る石階段が見えた。お墓は長い階段を上った先に、お世辞にも立派な墓とは言えない素樸な墓があった。皆は敬意を払い源頼朝墓の墓の前で手を合わせた。


 その後、鶴岡八幡宮に向かった。ここでも海斗は陽菜に質問をした。春菜ちゃん、この八幡宮を作ったのは誰だと思う?

「そうねー、もしかして、また頼朝?」

「正解! 頼朝は先祖が崇拝した神社をこの場所に動かして社殿を建てたんだ。ここでは幕府の祭事が行われていたのだよ」

 葵も感心をした。

「へー、ここも頼朝なのねー。お兄ちゃんって物知りなのね」

 四人はお参りを済ませて小町通りに向かった。

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