4 ちょっと違うタイプの壁ドン
「はぁ・・・・・・」
その日の昼休み、俺はため息をつきながら廊下を歩いていた。
向かう先は職員室。
キャプテンの言いつけにより、
俺は張高野球部の顧問の先生の調査をせんとあかん事になった。
毎度の事やけど、何で俺がこんな事をせなあかんねん?
しかもこの流れやと、またやっかいな事に巻き込まれる気がするんやけど。
とか思いながら廊下をトボトボ歩いていた、その時やった。
やにわに誰かに後ろから制服の襟をガシッと掴まれたかと思うと、
俺はそのまま後ろに強引に引っ張られた。
「うわっ⁉ちょっ⁉ええっ⁉」
そのまま引きずられる俺。
ていうかコケるコケる!
一体誰やねんこんな事する奴は⁉
とか思っているうちに、俺は人気のない階段の踊り場まで連れて行かれ、
その壁際にドン!と突き飛ばされた。
「あ痛⁉」
激しく壁に背中を打ちつけられて物凄く痛かった。
何ちゅう腕力。
ていうか誰やねん?
まさかこの学校の不良が俺からカツアゲしようっちゅうんか?
俺はそんなに金持ってないで?
と思いながら目を開けると、そこに居たのはカツアゲをしそうな不良ではなく、
ガッチリした体格の女子生徒やった。
ちなみに俺はこの人を知っている。
張高女子ソフトボール部のキャッチャーにしてキャプテンの、佐渡天音先輩や。
その佐渡先輩が、怒りに満ちた表情で俺の事を睨みつけていた。