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ハリガネベイスボウラーズスリイ!  作者: 椎家 友妻
第七話 決戦!植葉組!後半戦
76/82

3 人気選手と、そうでない選手の扱いの差

 そんな場面で登場したのは二番バッターの小暮。

そして小暮が打席に入ると、一塁ギャラリーの女子生徒達から声援が飛んだ。

 「キャーッ!小暮く(・)ー(・)ん(・)!」

 「小暮君()頑張ってーっ!」

 どうやらギャラリーの女子生徒は、小暮の事をいまだに男やと思っているらしい。

まあクラスや学年が違えば、小暮の性別を知らんでもおかしくはないか。

 その小暮は右のバッターボックスに入り、静かにバットを構えた。

ここ一番での小暮の勝負強さは一級品や。

できればここで決めてくれ小暮。

でも欲を言うなら俺に活躍の場を回してくれ。

と、そんなやましい事を考えていると、

 キィン!

 小暮が植葉の初球を打ち返した!

打球は二遊間を抜けてセンターへ!

二塁ランナーの山下先輩は三塁を回るか⁉

しかし三塁コーチの赤島先輩がそれを止めた!

その間にセンターからの返球をセカンドがキャッチ!

あのまま山下先輩がホームに突っ込んでたら、

タイミング的にアウトになってたやろう。

ここは赤島先輩の好判断やったな。

しかもこれでワンナウト一塁三塁。

サヨナラのチャンスは更に広がった訳や。

次のバッターは三番の碇。

その碇がバッターボックスへ向かうと、

ギャラリーの女子生徒達から再び声援が飛んだ。

 「松山くーん♡打ってーっ♡」

 「頑張れーっ♡」

 キャーキャーキャーキャーうるさい女どもやでホンマに。

キャーキャー言うなら小暮か碇のどっちかにせいっちゅうに。

もしくは俺にもキャーキャー言うてくれっちゅうに。

と、そんなみみちい事を考えていると、

 カキィン!

 碇が植葉の第二球を打ち返した!

打球はライナーで植葉の脇を抜けた!

かと思いきや、

 バシィッ!

 植葉はグローブを目一杯のばしてその打球をもぎ捕った!

 「っしゃあっ!」

 雄たけびを上げる植葉。

あれが抜けていればサヨナラ勝ちやったけど、植葉の奴も必死や。

 これでツーアウト一塁三塁。

泣いても笑っても次のバッターで勝負が決まる。

そしてそこで登場するのが、

四番!主役!俺!

 いや~、流石に作者、じゃなくて、神様はわかってるね。

この緊迫した試合にケリをつけるのは、やっぱり主役である俺しか()らんのや!

 俺はネクストバッターサークルで立ち上がり、

バットを二回振って打席へと向かった。

するとその時、一塁側ギャラリーから女子生徒達の声援が、


 シ~ン・・・・・・。


 うぉおおおおい⁉

何静まり返っとんねん⁉

ワシがこの試合の最後のバッターやねんぞ⁉

勝つか引き分けかはワシにかかってるんやぞ⁉

ワシ主役やぞ⁉

少しくらいキャーキャー言うたらどないやねん⁉

 と、俺が打席に向かいながらブチ切れていた、その時やった。


 「昌也くーん!かっ飛ばせーっ!」


 と、俺の背中に声援を送ってくれる女の子の声が聞こえた。

その声に振り返ると、一塁ギャラリーに居た伊予美が、

笑顔で俺に手を振りながら声援を送ってくれていた。

その光景を()の当たりにした俺は、全身の細胞が一気に覚醒した。


 ブォッフゥッ!(細胞が覚醒する音)


 よっしゃやるぞぉっ!

例え他の女子生徒がキャーキャー言うてくれんでも、

俺は伊予美が応援してくれたらそれでええんや!

見ててくれ伊予美!

俺は必ず打つ!

そしてこの勝利を君に捧げよう!

 そう決意した俺は、ゆっくりと右の打席に立った。

そしてジッと植葉を見据え、バットを構えた。

 さあ来い植葉。

俺は必ずお前の球を打ち返す!

 と、その時やった。



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