6 クロスプレー
得点は〇対〇。
七回裏、張金高校のチャンス。
そんな中植葉は、第五球を投げた!
外角のストレート!
それが甘いストライクゾーンに来た!
カキィン!
俺はその球を鋭く打ち返した!
そしてその打球はライナーで一、二塁間を破り、
ライトの手前でワンバウンド!
とうとう植葉からヒットを打った!
そして二塁ランナーの小暮は三塁ベースを蹴ってホームに突進!
打球を掴んだライトは無駄のない動きでバックホーム!
ホームベース上で構えるキャッチャーにワンバウンドのいいボールが返って来た!
そこに小暮が足から滑りこむ!
ボールを受けたキャッチャーが小暮の足にタッチする!
タイミングはほとんど同時!
判定は⁉
「アウト!アウトォッ!」
アウト!アウトやった!
ライトからの素晴らしいバックホームとキャッチャーのうまいブロックで、
小暮の本塁突入はあと一歩のところで阻止されてしもうた。
「だーっ!もぉうっ!」
一塁ベースを回ったところでその光景を目の当たりにした俺は、
思わず声を上げて天を仰いだ。
大いに盛り上がった一塁ベンチとギャラリーも、
今のプレーで一転して静まり返る。
それに対してこのピンチをしのいだ植葉は、
「よっしゃぁっ!」
と雄たけびを上げ、他の植葉組の面々とハイタッチを交わして盛り上がっていた。
互いにピンチをしのぎ合った七回の攻防。
しかしスコアはいまだ〇対〇。
両チーム一歩も譲る事なく、試合はいよいよ激闘の様相を呈してきた。
遠川監督を賭けたこの一戦。試合の行方はまだまだわかれへんのやった!




