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ハリガネベイスボウラーズスリイ!  作者: 椎家 友妻
第六話 決戦!植葉組!中盤戦
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3 植葉との勝負

植葉はまたスパイクで地面を踏みならしながら言った。

 「沙夜は何てアドバイスしてきたんや?」

 それに対して俺は、ありのままの事を正直に答えた。

 「そろそろウチのピッチャーに、本気で投げさせろって言われました」

 「ハハッ、随分厳しい監督やなぁ。あのチビはもう限界やろうに」

 「そう見えますか?」

 「最初の打席では打ち損じたが、今度こそ俺のひと振りで試合を決めたるわ。

そうすれば沙夜も俺の事を見直すやろ」

 そう言ってバットを構える植葉。

そして三塁ベンチから植葉組のヤジが飛ぶ。

 「そのピッチャーもうヘバッてまっせ!」

 「ここで決めたってくださいぼっちゃん!」

 それに対して一塁側のギャラリーからも女子生徒達の声援が飛ぶ。

 「頑張って松山君!」

 「負けないでーっ!」

 いつもやかましいだけの女子どもやけど、こういう時の声援は心強いな。

碇に対する声援ばっかりやけど。

 まあそれはさておき、その碇はマウンド上でセットポジションに入った。

そんな碇に出すサインはもちろんストレート。

それも手加減一切なしの全力投球や。

 そして碇はそのサインに頷き、

セットポジションからの渾身のストレートを、投げた!


 ばごぉん!


 次の瞬間、凄まじい爆音とともに、

碇の投げたストレートが俺のミットに突き刺さった。

 「え?」

 その球に全く反応できなかった植葉が、目を点にして俺の方に振りかえる。

そしてひとつ間をおいて球審のおっちゃんが、

 「ス、ストライク!」

 と声を張り上げた。

その瞬間さっきまでヤジを飛ばしまくっていた植葉組のベンチがシィンと静まり返り、

逆に一塁側のギャラリーは更に盛り上がった。

 「キャーッ!碇君素敵―っ♡」

 「ここから本領発揮よーっ♡」

 そう、ここからが碇の本領発揮や。このピンチは絶対に切り抜ける。

 そして碇は渾身の第二球を投げ込んだ!

 バシィン!

「ストライク!」

 「くっ!」

 植葉はバットを振る事すらもできない。

もはや完全にタイミングがあってないみたいや。

さっきまでとは球のスピードもキレも段違いやから、

この打席で対応するのはとてもやないけど無理やろう。

 「くっそう!」

 植葉が悔しそうにバットを握りしめる。

その植葉に碇は第三球目を投げ込んだ!

 「うぉらぁあっ!」

 声を張り上げ、植葉はその球目がけてバットを振った!

しかし俺が三球目に要求したのはこの試合で初めてのフォークボール。

その要求通りに球はホームベースの手前でフッと沈み、植葉のバットは空を切った!

 「ストライーック!バッターアウトォッ!」

 これで植葉は空振り三振でワンナウト!

一塁側ギャラリーも大盛り上がりや。

 「キャーッ!碇君サイコーッ♡」

 「主役交代してーっ♡」

 うぉい⁉誰やねんそんな物騒な事いう奴は⁉

この物語の主役は俺やぞ⁉・・・・・・・多分。

 それはともかく!三振に倒れた植葉は、

 「くそっ!」 

 と言ってホームベースにバットを叩きつけ、俺を睨んでこう言った。

 「ナメたマネしくさりおってからに。今まで手の内を隠しとったんかい」

 それに対して俺は、碇にボールを返しながら平然と答える。

 「だからさっき言うたやないですか。今から本気を出しますよって」

 すると植葉はそれ以上何も言わず、ズカズカと三塁ベンチの方へ帰って行った。


 そして次のバッターも碇の全力投球の前に三振に倒れ、

その次のバッターはキャッチャーフライに打ち取った。

 「スリーアウトチェンジ!」

 球審のおっちゃんが声を張り上げる。

こうして張高野球部は、碇の力投でノーアウト満塁のピンチをしのいだのやった!

 野球というスポーツは、ピンチをしのいだ後にチャンスが訪れるという事がよくある。

だから次は俺達にっチャンスが回って来るはずや!

よぉし!この勢いで先制点をもぎ取るでぇっ!



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