3 張高の監督事情
「ウチの野球部って、監督は(・)居ないん(・・・・)です(・・)か(・)?」
すると次の瞬間キャプテンは
「あ」
と声を上げ、頭をかきながら舌をペロッと出してこう言った。
「そう言えば居ねぇや♡」
「居ないんですか⁉
それじゃあ甲子園どころか試合自体に出られないんじゃないですか⁉」
そう言ってキャプテンに詰め寄る俺。
するとキャプテンはたじろぎながら言った。
「いやあ、このチームって存在自体が危うかったやろ?
だから監督になってくれるような人が居らんかったんや」
「それじゃあもしかして、顧問の先生とかも居ないんですか?」
「いや、顧問は居んねん。でも最近は来てないなぁ。誰か知らんか?」
キャプテンはそう言って他の皆に聞いたが、皆は一様に首を横に振った。
が、その中でただ一人首を横に振らなかった、
張高野球部のセンターを守る扇多阿太郎先輩が右手を挙げて言った。
「あの人やったら、最近学校に来てないらしいで?」
「へ?何でですか?」
「いやあ、そこまでは知らんけど」
俺の問いかけに扇多先輩はそう答えた。
するとキャプテンは俺の肩をポンと叩いてこう言った。
「じゃあそういう訳やから正野君、その辺の詳しい事情を調べといてくれるか?」
「でええっ⁉また俺ですかぁっ⁉何で毎回そういう事を俺に押しつけるんですか⁉」
「何を言うんや!部の雑用は一年の大事な仕事や!しっかり頼むで!」
「はぁ・・・・・・」