1 決戦当日
そして翌日、沙夜さんを賭けた植葉組との野球対決の日がやってきた。
試合会場であるいつもの市営グラウンドへ行くと、
一塁側ギャラリーには既に数人の人が集まっていた。
鹿島さんに伊予美、千田先輩の弟や山下先輩のお父さんの他に、
最近よく野球部の練習を見学に来る女子生徒達も来ている。
そしていつものように鹿島さんが元気に
「頑張れーっ!張高野球部ーっ!」
と声を張り上げ、碇や小暮ファンの女子生徒達も、
キャーキャーと黄色い声援を送っている。
しかしそれより何より今回も伊予美が見に来てくれているので、
俺はそれだけで元気百倍勇気百倍や!
よぉし!やるでぇっ!
するとそんな中、
三塁側ベンチに上下黒のユニフォームに身を包んだ集団が現れた。
今日対戦する植葉組の登場や。
選手は全員組の人間らしく、
一様にそっち系のいかつい顔つきをしている。
年齢は二十代から三十代の大人ばかりで、
その中に沙夜さんの暫定フィアンセである植葉則文の姿もあった。
あいつは関西大学野球の名門、
浪速ノ国体育大学でエースやったらしいけど、
一体どれほどの実力なのか、お手並み拝見というところやな。
 




