9 暴力、ダメ、絶対
沙夜さんの強烈な右ストレートパンチが、植葉の顔面に炸裂した!
そして植葉は「ブフゥッ⁉」という声とともに後ろに吹っ飛び、
背中から床に倒れこんだ。
そしてそんな植葉に沙夜さんが言った言葉はこれやった。
「暴力を振るうのはよせ!」
いや、それはあんたやがなと思わずツッコミそうになったが、
俺はそれをすんでのところでこらえた。
すると殴られた植葉が鼻血を垂らしながら上半身を起こし、震える声で下積先生に言った。
「ふ、ふ、ふざけやがって、俺は絶対に認めへんぞ!
こうなったら決闘じゃ!表に出ろコラ!」
するとそんな植葉の元に沙夜さんが歩み寄り、その脳天にゲンコツをお見舞いした。
ゴンッ!
「ふぎゃっ⁉」
頭を抱えてうずくまる植葉。
そんな植葉に沙夜さんが言った言葉はこれやった。
「暴力で物事を解決しようとするな!」
いや、だからそれはあんたでしょうがというツッコミはさておき、
植葉は頭を抱えながら声を荒げた。
「張金高校か何か知らんけどやな!
そんな名前も聞いた事もないような学校で甲子園なんかに行ける訳ないやろ!
お前らなんかより俺の方が野球ができるわ!」
「へ?植葉さんは野球経験者なんですか?」
俺がそう尋ねると、沙夜さんが振り向いてこう言った。
「こいつは人間性はこんなだが、
これでもナニ体大の野球部でエースを務めていたんだ」
それに続いて植葉がこう叫ぶ。
「今は組の人間を集めて野球チームも作ったんや!
お前らみたいなヘボチームよりはるかに強いわ!」
それを聞いた俺は、ニヤッと笑ってこう言った。
「それやったら、沙夜さんを賭けて俺達と野球で勝負しませんか?」
 




