4 結局巻き込まれる
そしてそれを聞いた俺は、思わず声を上げた。
「でぇっ⁉何で俺達まで⁉」
すると夢代さんはニッコリほほ笑んでこう続ける。
「沙夜の婚約者である則文さんはとても沙夜の事を慕ってくださっていてね、
沙夜が縁談の取りやめの申し出をお願いしても、
そう簡単に引き受けてくださらないと思うの。
でもあなた方がついていてくれれば沙夜もきっと心強いと思うわ。
沙夜はあなた方の事を信頼しているみたいだし」
「それは私一人でできるわよ!そんな事にまで二人を巻き込む訳にはいかない!」
沙夜さんは慌ててそう言った。
が、それに対する下積先生の言葉はこうやった。
「いえ!僕らもお供させてください!少しでも沙夜さんの力になれるのなら!」
「下積先生・・・・・・」
下積先生のその言葉に、沙夜さんは瞳を潤ませながら呟いた。
何か今日の下積先生、えらいカッコええやないか。
これなら沙夜さんのハートも射止める事ができるんとちゃうか。
でも、俺もお供せなあかんっちゅうのはどうよ?
ハッキリ言うてワシ嫌でっせ?
だってどうせ沙夜さんの婚約者もバリバリのヤの付く人でっしゃろ?
そんな奴に婚約を解消してくれっちゅうねんから、
物凄い修羅場になるのは目に見えてますやんか。
そんな所に首を突っ込むのは下積先生だけでええと思いませんか?
ねぇ皆さん?
と、心の中でどこかの誰かに同意を求めていると、
そんな俺の心を見透かしたように夢代さんが言った。
「もちろん、あなたも来てくれるわよね?」
その美しくも有無を言わさぬ夢代さんの笑顔に、俺は
「はい・・・・・・」
と答える他なかった。
何か知らんけど、えらい事になってしもうたで。
果たして沙夜さんは婚約者との縁談を解消し、
張高野球部の監督になれるのか?
ていうか、俺は無事に生きて帰る事ができるのか?
できれば、誰か代わってください・・・・・・。




