13 山積みでも下積
そして俺は職員室にやって来た。
一人で遠川さんの所に行ってもよかったんやけど、
一応下積先生にも声をかけた方がいいかと思ったのや。
下積先生の机は廊下側の真ん中あたりにあり、
そこへ行くと、机に山積みになった書類と格闘している下積先生が居た。
「あの、下積先生、今ってやっぱり忙しいですか?」
俺がそう言って声をかけると、
下積先生は申し訳なさそうな顔で俺の方に振り向いて言った。
「そうだね、今日中にこの書類を片付けないといけないから、
今はちょっと手が離せないかな」
「そうですか。あの、俺今からまた遠川さんの所に行く事になって、
下積先生も一緒にどうかなと思ったんですけど、どうやら無理そうですね」
そんな俺の言葉に対する下積先生のコメントはこうやった。
「よし!それじゃあ先生と一緒に遠川さんに会いに行こうか!」
「え⁉先生は今忙しくて手が離せないって言いませんでした⁉」
「今終わった!」
「ええっ⁉まだ目の前に書類が山積みになってますけど⁉」
「しかしその事が、僕をこの場に縛り付ける理由になりえるだろうか⁉」
「なりえるでしょ!」
「しかし断る!」
「断っちゃった!」
「いくら僕の目の前に書類が山積みでも、僕はいつでも下積だ!」
「うまい事言えてませんから!ダジャレにすらなっていませんから!」
「さあ行こう正野君!遠川さんの所へ!」
「あの、ホンマにいいんですか?」
「当たり前じゃないか!何をためらう事があるんだ!さあ行こう!」
「はあ・・・・・・」




