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ハリガネベイスボウラーズスリイ!  作者: 椎家 友妻
第三話 その、ある事情とは
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12 この二人の扱い方

え?何?

と一瞬思ったが、その意味にピンと来た俺は、咄嗟に岩佐先輩にこう言った。

 「ま、待ってください二人とも!

この部には岩佐先輩と近藤先輩の力が、どうしても必要なんです!

だからお願いします!この部を辞めるなんて言わないでください!」

 そして俺は二人に向かって頭を下げた。

するとそれを見た碇と小暮もこの状況を察したのか、

 「お願いします!」

 と言って一緒に頭を下げた。

それを見た岩佐先輩はしばらく黙って考え込んでいたが、

何かが吹っ切れたようにこう答えた。

 「し、仕方ねぇなぁマッタク!

後輩にそうやって頭を下げられたら、辞める訳にはいかねぇじゃねぇか!」

 そして近藤先輩もこう続けた。

 「ま、まあ、一年生がそこまで言うなら、俺も残るよ」

 「決まりやな!」

 二人の言葉を受け、キャプテンは両手をパン!

と叩いてそう言い、俺の方に振り向いてこう続けた。

 「これで張高野球部全員の意見は揃った!

それじゃあ正野君!

さっそく遠川さんの所に行って、正式に監督になってもらえるようにお願いしてくれるか!」 

 しかし俺は頭をポリポリかきながらこう返す。

 「いやあそれが、この前頼んではみたんですけど、

何か事情があるとかで断られちゃって・・・・・・」

 するとキャプテンは

「何ぃっ⁉」

と叫んで俺の胸ぐらを掴み、怒りに満ちた形相でこう続けた。

 「この期に及んで断られたってどういう事やねん⁉

そんな事で済むと思ってんのか⁉」

 「いや、そうは言うてもですね、

あちらにも事情っちゅうモンがありまして・・・・・・」

 「事情か胃腸か知らんけど、そんなモンは関係ない!」

 「確かに胃腸は関係ないですね」

 「とにかくもう一度遠川さんの所に行って、

ウチの監督になってもらえるようお願いするんや!」

 「で、でもキャプテン・・・・・・」

 「うるさい!俺の事はキャプテンアメリカと呼べ!」

 どういう事やねん。

あかんわ、この人また頭に血がのぼってるわ。

こうなったキャプテンには何を言うても無駄や。なので俺は諦めてこう言った。

 「わかりましたよ、引き受けてもらえるかどうかは分かりませんけど、

もう一度お願いしてみますよ」

 「頼んだぞ」

 キャプテンの言葉に俺は頷き、

そう言えば今日はあの人が居ない事に気づき、それを尋ねた。

 「そういえば今日は千田先輩の姿がありませんけど、何かあったんですか?」

 すると向井先輩がこう言った。

 「千田は今日家の仕事の手伝いがあるとかで、先に帰ったよ」

 「あ、そうなんですか」

 家の仕事の手伝いって、やっぱり借金の取り立てやろうか?

あの人は遠川さんの事を知ってるような事をチラッと言うてたから、

もしかしたら遠川さんの『ある事情』っちゅうのも知ってるかもと思ったんやけど。

 とか考えていると、キャプテンが俺の両肩を叩いて言った。

 「よっしゃ!じゃあ今から遠川さんの所へ行って来てくれるか!」

 「ええっ⁉今からですか⁉」

 「当たり前やないか!こういう事は一刻を争うんや!善は急げや!」

 「わ、わかりました・・・・・・」

 ホンマにキャプテンは人使い(とうか俺使い)が荒いなぁ。

そう思いながら俺は踵を返して部室を出た。

すると背後から碇が、

 「あ、じゃあ僕も行くよ!」

 と言ったが、俺は」

 「いーや、お前は残って練習しとけ」

 と言って制し、そのまま部室を後にした。



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