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ハリガネベイスボウラーズスリイ!  作者: 椎家 友妻
第三話 その、ある事情とは
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6 せめて見学だけでも

でもこのままではホンマに冗談で終わってしまうので、俺は慌てて弁解した。

 「あ、あのですね!ホンマのお願いっていうのは、

ウチの野球部の監督になってもらえませんかっていうお願いなんです!」

 「え?私が、君の居る野球部の監督を?」

 目を丸くした遠川さんに、俺は「そうです!」と頷いて続けた。

 「ウチの部は甲子園を目指して日々頑張っているんですが、

小学生のチームに負けるような弱小チームなんです。

今はこの下積先生が顧問をしてくれてるんですけど、

この先生はやる気はあるんですが野球に関しては素人でして、

それで、野球経験者で指導もうまい遠川さんに、

ウチの部の監督になってもらえないかとお願いに来たんですけど、どうですかね?」

 「監督、かぁ・・・・・・」

 俺の言葉に遠川さんはそう言って腕組みをし、

しばらく考え込んだ後にこう言った。

 「実は私も野球の監督に凄く興味があってね、

大学の野球部に居る頃から指導者としての勉強もしたし、体育の教員免許も取ったんだ」

 「え⁉それやったらぜひウチの監督になってもらえませんか⁉」

 俺は語気を強くして遠川さんに迫った。

が、遠川さんは浮かない顔をしてこう言った。

 「確かにその話は私もとても興味がある。

それに君はとてもいい素質を持っているし、その素質を育ててみたいとも思う。

でも私には事情があって、それは無理なんだ」

 「そう、なんですか。それは、残念です・・・・・・」

 遠川さんの言葉に、俺はそう言ってうつむいた。

まあまだ会って二回目の人にこんなお願いしても、

引き受けてくれる訳がないわな。

それにしてもこの人の言うある事情っちゅうのは何なんやろう?

それさえなければ監督を引き受けてくれるっちゅう事やんな?

まあ流石に、そこまで聞く度胸はないけれども。

 するとそんな中、傍らの下積先生が再び口を開いた。

 「あ、あのっ!もしよろしければ、今度ウチの練習を見学しに来ませんか⁉」

 「え?見学?」

 おお、大胆な提案やな下積先生。

でもそれはええ考えや。

なので俺も間髪入れずに言った。

 「そうですよ!ぜひ一度だけでも見学に来てください!

それくらいやったら問題ないでしょ?」

 すると遠川さんは再び腕組みをして、呟くように言った。

 「まあ、それくらいなら別にいいかな。私も高校球児の練習風景を見てみたいし」

 「ほ、本当ですか⁉」

 遠川さんの言葉を聞いた下積先生は、そう言って目を輝かせた。

それに対して遠川さんは、ニッコリ笑ってこう返す。

 「ええ、近いうちにお邪魔させてもらいます。後で学校の場所を教えてください」

 「は、はひっ!」

 そう言って下積先生は遠川さんに頭を下げた。

 かくして遠川さんが張高野球部に見学しに来てくれる事になった。

これは下積先生にとってこの上なく嬉しい事やろうけど、俺にとっても楽しみやった。

 いつごろ見学に来てくれるのか、早くも待ち遠しくなってきたで。



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