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ハリガネベイスボウラーズスリイ!  作者: 椎家 友妻
第三話 その、ある事情とは
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5 いきなりプロポーズ

 遠川さんはこの前と同じ所に居た。

そして彼女が一通りボールを打ち終わるのを待ち、打ち終わった所で声をかけた。

 「遠川さん、こんにちは」

 「ああ、君はこの前の」

 俺に気付いた遠川さんは、そう言って扉を開けて通路に出てきてくれた。

 「また会えて嬉しいよ」

 そう言って爽やかな笑みを浮かべる遠川さんに、俺は単刀直入に言った。

 「あの、実は遠川さんにお願いしたい事があるんですけど」

 「私にお願い?何かな?」

 「ほら、下積先生」

 俺は隣に立つ下積先生を(ひじ)で小突いた。

すると下積先生は顔を真っ赤にして背筋を伸ばし、上ずった声でこう言った。

 「あのっ!こ、こ、この前は、バッティングのアドバイスをしてもらって、

あ、あ、ありがとふござひまひはっ⁉」

 セリフカミカミやないか。

そんな下積先生に遠川さんは一瞬目を丸くしたが、

すぐ思い出した様子でこう言った。

 「ああ、あなたともここでお会いしましたね。

あの時は出しゃばった事をしてしまい、すみませんでした」

 「と、とんでもないです!凄く勉強になりまひたっ!」

 「ははは、面白い方ですね。で、私にお願いって何ですか?」

 「かはっ・・・・・・」

 遠川さんの問いかけに、下積先生は言葉を詰まらせた。

おそらく緊張しすぎて頭が真っ白になってしもうたのやろう。

なので俺は隣から助け舟を出した。

 「下積先生、監督の事、お願いするんでしょ?」

 「ハッ⁉そ、そうだった!」

 ハッと我に返った下積先生は、改めて遠川さんに言った。

 「あ、あのっ!あなたにお願いしたい事があるんです!」

 「はい、何でしょう?」

 微笑を浮かべて次の言葉を待つ遠川さん。

そんな遠川さんに、下積先生が次に言った言葉はこれやった。


 「よかったら僕の、監督になってもらえませんか⁉」


 「ちょっと!違うでしょ先生!」

 思わず突っ込む俺。

何でそうなるんや先生⁉

いや、この人にとってはある意味これがホンマのお願いかもしれんけど。

と思っていると、遠川さんはプッと吹き出して言った。

 「あははっ、それ、今流行りのプロポーズなんですか?本当に面白い方ですね」

 どうやら遠川さんは今の下積先生の言葉を冗談と解釈してくれたみたいや。

心の広い人でよかった。



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