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ハリガネベイスボウラーズスリイ!  作者: 椎家 友妻
第二話 それぞれの恋の行方
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12 甲子園に出場できたら告白できるルール

 という訳で俺と宗太は、近所の公園にやって来た。

日もだいぶと暮れてきているので、他に人の姿はなかった。

そんな公園のベンチに、俺と宗太は並んで腰かける。

そして俺は再び宗太に尋ねた。

 「で、俺に話しって何や?」

 すると宗太は、呟くように俺に言った。

 「お前、大京山(だいきょうざん)に来ないかっていう話を断ったらしいな」

 実はこの宗太は、

今大阪でナンバーワンと言われている大京山高校の野球部に所属している。

で、この前の一件を大京山のキャプテンにでも聞いたんやろう。

なので俺は素っ気なくこう答えた。

 「ああ、断ったで」

 「どうしてだ?お前なら大京山でも十分レギュラーが狙えるのに」

 「俺は今の張金高校で甲子園を目指す。

だからどの強豪校から誘われても行くつもりはない」

 「まさかお前、まだ彼女にこだわっているのか?」

 こいつの言う彼女とは、言うまでもなく伊予美の事や。

こいつは俺が伊予美に片思いしている事を知っている。

なのでキッパリとこう答えた。

 「ああそうや。俺は伊予美ちゃんを野球部のマネージャーとして甲子園に連れていく。

そしてそれがかなった暁に、彼女に告白するんや」

 すると宗太はフンと鼻で笑ってこう返す。

 「まだそんな夢みたいな事を考えているのか。

そんな名前も聞いた事がないような地元の弱小校で、

甲子園に行ける訳がないだろう?」

 「そんなモン、やってみんとわからんやろ」

 「わかるさ。お前のチームが万が一奇跡的に勝ち進んだとしても、

必ずウチとあたる。その時に勝つのは俺達大京山だ。

そして甲子園に出場した暁に、俺は伊予美ちゃんに告白する」

 「な、何やとぉっ!」

 そう、実は宗太の奴も伊予美に片思いをしている。

俺達三人は小さい頃からよく一緒に遊んでいたが、

俺と宗太は仲が良くて一緒に遊んでた訳やない。

お互いに伊予美の事が好きやったから一緒に()っただけの事。

俺と宗太が野球を始めたのも伊予美がキッカケやし、

こうして甲子園を目指しているのも、伊予美が()るからこそ。

こいつを倒さん事には甲子園にも出られへんし、伊予美も奪われてしまう。

なので俺と宗太は生まれつきの敵同士であり、絶対に負けられへん存在なんや。

こいつはよその学校に行ったからもう伊予美の事は諦めたかとも思うたけど、

やっぱりそうやなかったんやな。

 そんな宗太に俺はガバッと立ち上がって声を荒げた。

 「甲子園に行くのは俺や!そんで俺が伊予美ちゃんに告白するんや!」

 すると宗太も立ち上がって俺に声を荒げる。

 「馬鹿を言うな!甲子園に行って告白するのは俺だ!」

 「俺や!」

 「俺だ!」

 ちなみに俺と宗太の間には、

甲子園に出場しなければ伊予美に告白してはいけないという暗黙のルールが存在する。

そんなルールどうでもええからさっさと告白せぇやという人も()るやろうけど、

それをしたら宗太に負けた事になるし、

何より伊予美は甲子園に出場するようなカッコイイ高校球児が好きなんや!

だからこれは絶対に妥協でけへんのや!

 俺と宗太は激しく睨みあい、熱い視線の火花を散らした!

こいつだけには負けられへん。

俺も宗太も、その思いが目にみなぎっていた。



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