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14 不吉な締めくくり
帰り道の途中、隣を歩く碇が俺に言った。
「昌也君、下積先生とあんな約束をするなんて、
よっぽどうまくやる自信があるんだね?」
それに対して俺は、至って軽い口調でこう返す。
「いいや、うまくやれる自信なんてこれっぽっちもないがな」
「ええ?それなのにあんな約束しちゃったの?」
「だってああでも言わんと、あの人は野球部に戻ってくれそうになかったやろ?」
「でも嘘をつくのはよくないと思うけどなぁ・・・・・・」
「嘘とちゃうがな。
下積先生の片思いを成就させるために、できる限りの協力はするよ」
「それで、もしうまくいかなかったら?」
「その時はその時や。そもそも片思いには失恋がつきもんなんやから」
「こんな事で大丈夫なのかなぁ?」
「大丈夫大丈夫!ウジウジしとっても何も始まらへんねん。
色々やってみて失恋したとしても、それはそれで悔いは残らん!
案ずるより産むが易しや!」
そう言って俺はカラカラと笑った。
しかしこれが後にとんでもない騒動になってしまうとは、
この時の俺は知るよしもないのやった。




